「言葉の貧困」に悩む中国の若者38万人がSNSで相互扶助

2024-03-11 15:49:00  CRI

 

 ネット用語に慣れている多くの若者は、日常生活の中で語彙(ごい)がますます乏しくなり、自分は「文字失語症」になったのではないかと心配するようになりました。「文字失語症」という俗称は「言語貧弱症」とも呼ばれ、論理を追って構築された言葉で心の中の考え方を表現できなくなる現象です。

 あるネットユーザーは、「親しくない人とチャットする際に、(親しい女性間で使われる自分と相手を指す)『姉妹』という呼び方に代わる言葉はあるのだろうか? 誠実に心を通わせているがなじみの薄い相手に対して、誠実さを失わないように親しみを示すにはどう呼べばよいのだろう」との疑問を出しました。この問いかけがネットで共感を呼ぶことになりました。このような現象は面白さもある反面、多くの人が、どのように繊細な気持ちを表現するのか、どのように文才ある愛情表現をするのか、どのようにネット上でスタンプ以外で交流するかで悩んでいることを反映しています。

 中国の大手ソーシャル・カルチャー・サイトの豆瓣(ドウバン、Douban)では、2021年1月に「文字失語者相互扶助連盟」が設立され、現在までに38万人以上が加入しました。この「連盟」は実際問題として、現代の若者が言語能力を高めるために展開する「自己救済行動」のようなもので、この時代の若者が直面する言語の貧しさと苦境の縮図です。このほど行われたメディアによる調査では、回答者1333人の半数以上が自らの言語や文字による表現力が低下していると感じており、回答者の47.1%が「自分は語彙力が乏しく、表現が単調」と感じていることが明らかになりました。インターネット時代を生きる若者の言語表現の習慣は大きく変化しています。

 南京大学文学部の陳立中教授は「文字失語症」の原因について、「第一に、情報化時代が社会の不完全な分化を招いている。ニッチ化現象が日増しに激しくなり、交流活動がますます『グループ化』に向かっている。第二に、情報化時代には生活のテンポが加速し、コミュニケーション活動もより効率化される。スタンプや流行語などがこのような速いペースに適応するために頻繁に使われるようになったため、言葉の使用が制約を受けた。このような状態が長期間に及ぶと、言語能力が影響されかねない。第三に、情報化時代になって、対面のコミュニケーションが大幅に減少した。画面上でのコミュニケーションは主に文字や記号に依存している。この状況も長期化すれば、言語能力に影響が出てくる」と分析しました。(雲、鈴木)

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