タクシーに乗った男性が多額のチップ 運転手が機知に富んだ対応

2024-03-06 14:10:32  CRI

タクシー運転手の康汝偉さん

 中国南西部の四川省瀘州市でこのほど、タクシー運転手の康汝偉さんが若い男性の乗客を乗せました。男性は乗り込むやいなや、チップだと言って100元札の束を渡してきました。キツネにつままれた康汝偉さんは、「何をするんだ、どうしたんだ?」と尋ねながら、乗客との距離を縮めようとしてタバコを差し出しました。男は、涙声で応じましたが、情緒がとても不安定な様子で、「沱二橋」という地元にある橋の真ん中に行きたいと告げました。

 目的地を聞いた康汝偉さんは自殺かと思い、驚きましたが、すぐに落ち着いて、男を慰め始めました。「冗談じゃないぜ、イケメン」と言った康汝偉さんはその後も男性の訴えに辛抱強く耳を傾けました。男性は「私は家族に捨てられた…」と、恋愛や家族のことが原因で自殺をしようと思いついたようです。

 康汝偉さんは気心の知れた兄のように「ご両親はいつもあなたのことを気にしている。分かってるよね。泣かないで、まだ若いんだから。今日は私の車に乗っているから安心してくれ」と慰めました。

 康汝偉さんはそう言いながら、一番近い紅星警察の交番に向けて素早くハンドルを切りました。途中、男性は何度も自分を橋まで送るよう要求してきましたが、康汝偉さんは辛抱強く男性を慰め続けました。男性は戸惑いながら「あなたと面識もないのに、なんで慰めてくれるの?」と聞いてきました。康汝偉さんは「あなたが後悔するのを心配してるんだよ。ご両親が後悔するのを心配している」と言いました。話しているうちに車は交番に着き、康汝偉さんは男性側のドアをロックして、警察に「助けに来て!」と大声で叫んでいました。

 その後、男性は車から降りて走り去ろうとしましたが、警察官が追いかけて交番に連れ戻しました。皆で繰り返し説得し、男性も次第に気持ちが落ち着いてきたので、康汝偉さんは「チップ」の現金を男に返し、最後は警察官が男性を家まで送り届けました。(任春生、坂下)

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