中国のファストファッション通販企業SHEIN ニューヨーク上場に難航 ロンドンでの上場を検討

2024-03-01 11:40:21  CRI

 中国の越境ファストファッションプラットフォームSHEIN(シーイン)は、ニューヨークでの株式上場が阻まれたため、新規株式公開(IPO)をニューヨークからロンドンに移すことを検討しています。英メディアは、英国経済に必要な押し上げ効果をもたらすだろうとの見方を示しています。

△スマートフォンにインストールされた越境ファストファッション通販SHEIN

 SHEINは中国で設立され、越境電子商取引(EC)を主な業務とし、そのサプライチェーンは中国大陸にあります。しかし、地政学的リスクに対応するため、SHEINは本社をシンガポールに移転しました。昨年、米国での上場を目指して米国の証券規制監督当局にIPO申請を行い、800億~900億ドル(約11兆9900億~13兆4900億円)の企業評価額を目指していました。しかし、これは米政府の厳しい審査を受け、マルコ・ルビオ米上院議員らは米証券取引委員会(SEC)に対し、SHEINの米国での上場を阻止するよう要請すると共に、同社が中国での業務情報をさらに多く開示すべきだと求めました。また昨年には、ある米議会の議員がSHEINの中国におけるサプライチェーンの調査を提案しました。

 米規制当局の承認を得ることは困難な戦いである一方、英国はIPOに対してより緩やかな規制環境を提供しています。ロンドン上場を検討するSHEINにとって、そのビジネスモデルや企業運営の透明度などにおいて、困難がより少ないとの見方があります。

 現在、英国は自国企業の米国や他国への流出を減少するため、企業に対してロンドンでの上場を働き掛けています。昨年、英国はIPOで数十年ぶりの低水準となる約10億ドル(約1500億円)しか調達できず、英国の現代史上IPOの最低記録を更新しました。昨年、日本のソフトバンクグループ傘下の英チップ設計会社Armは、英国政府の全力のロビー活動にもかかわらずロンドンでの上場を断念し、最終的に米証券取引委員会への申請に切り替え、ニューヨークでの上場を決めました。SHEINがロンドン上場を実現すれば、より多くの多国籍企業と投資家をロンドンに呼び込むことができます。SHEINの英国での上場は、英国市場の開放性と適応性を示すこともできるとみられます。

 フランスの投資銀行ナティクシスの香港駐在シニアエコノミスト、呉卓殷(Gary Ng)氏は「今後、香港の状況が改善すれば、SHEINの香港での上場が最善かつ最も簡単な選択肢となる可能性がある」と分析しました。(ZHL、榊原)

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