【観察眼】現状を知れば中国経済「息切れ論」の矛盾を感じる

2024-02-29 20:37:19  CRI

 廃車となった機関車が新たな中華風ブックカフェに変身。古い工業遺跡でかぐわしいコーヒーを味わう。漢服姿のあでやかな若い女性とすれ違う――。最新AIの「SORA」の作成した映像ではない。筆者がこの春節期間中に実際に経験したある普通の午後の情景だ。

 いまの中国では、暮らしに関わるサービスが絶えず向上し、享受できる文化が次々に入れ替わっている。消費において、新たな人気やトレンドが尽きることなく出現する。年末年始のハルビン氷雪観光ブームをはじめとして、各地の文化観光業者は火のついたように競争してサービスと商品の開発に取り組んでいる。2024年に中国の文化関連産業は好調なスタートを切った。

 商務部によると、今年の春節(旧正月、2024年は2月10日)前後の期間中、中国国民の文化消費の需要の伸びは過去最高だった。例えば、春節8連休の映画興行収入は史上最高の80億5000万元(約1680億円)を記録し、観光消費は6326億8700万元(約13兆2000億円)に達した。無形文化財関連の消費も急増した。大手生活関連サービスサイト「美団(メイトゥアン)」では漢服の検索回数は前年同期比66.6%増、アリババグループ傘下の大手ECサイトの「天猫(Tmall)」では漢服の販売額が前年同期比150%増だった。「中国風文化の創造」を意味する「国潮文創」のキーワードによる検索回数は前年同期の3倍に達した。若者に人気のソーシャルECアプリ「小紅書(RED)」では今年1~2月、文化消費に関連する投稿が800万件を上回り、商品数では291万点を突破した。

 映画鑑賞、博物館めぐり、親子旅行などの従来型文化レジャーも依然として人気が高い。それらに加えて、囲炉裏を囲んで喫茶を楽しむ中国式アフタヌーンティーや中国の伝統生薬によるアロマセラピー、無形文化財として伝えられる技を利用しての工芸などの文化体験も新しい流行として話題を呼んでおり、さまざまなビジネスが「着火状態」だ。大流行のために「新春の勝負服」とまで言われるようになった中国伝統のマミアン・スカートは3億元(約62億円)以上もの販売額を叩き出した。故宮や三星堆遺跡にちなむワンポイントを取り入れたネイルは若い女性の間で大ブレイクしている。伝統薬を利用した植物性化粧品や伝統的な中国式デザインのアクセサリーは最新の流行商品だ。スタートアップ企業の開発した新製品にしても、老舗の打ち出した新サービスにしても、現代の科学技術と伝統文化の多面的な融合が祝祭日の行事ムードと日常生活の雰囲気を共に満たし、生活と消費を盛り立てている。

 時代は変化し、人々のライフスタイルもさまざまだが、消費は一貫して中国経済成長のバロメーターだ。文化消費は中国人の日常生活にとってこれまで以上に欠かせない重要な人付き合いの手段の一つになりつつある。そこから生まれるさまざまな関連商品や体験サービスは絶えず新しい商機や消費モデル、経済の成長分野を育てる。中国での文化消費市場の供給と需要の双方向の旺盛ぶりからは、中国経済が回復して好転しつづける様子と、巨大規模の中国消費市場が秘める無限の潜在力が見えてくる。

 ところが、一部の西側メディアは中国崩壊論に固執している。一部の日本人研究者は戻ってきた中国人観光客について「日本で『爆買い』はもうしない。なぜなら経済の不振により消費が低迷している」といった見解を示した。しかし、まさに2024年が始まったとたんにエルメス、ルイ・ヴィトン、ロレックス、シャネルなどの高級品ブランドが相次いで値上げを発表した。周知のように、中国人消費者は世界高級品ブランドの販売額の4割近くに「貢献」している。中国市場や中国経済を楽観視できるかどうかという問いに、どのように答えるか。商売の現場に身を置く業者の「嗅覚」は実に鋭い。彼らは現実に誠実に対応している。(CMG日本語部論説員)

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