先天性難聴児が正常な聴力を回復の見込み 世界初の難聴遺伝子療法が成功

2024-02-01 14:03:36  CRI

 中国東部・江蘇省出身の牛々ちゃん(仮名)は先天性難聴を患い、昨年4月に遺伝性難聴遺伝子治療をおこない、わずか1カ月後に聴力を回復しました。世界初の遺伝性難聴遺伝子治療の臨床試験研究がこのほど、世界トップレベルの医学ジャーナル「ランセット」に掲載されました。

 牛々ちゃんは先天性難聴を患い、しかも最も深刻な全難聴です。家族は牛々ちゃんを復旦大学付属耳鼻咽喉科病院に連れて行って治療を受けさせました。この病院では、OTOF遺伝子突然変異による先天性難聴遺伝子療法の臨床試験をおこなっており、検査評価を経て牛々ちゃんにこの臨床試験に参加させました。遺伝子治療を受けてから4週間、牛々ちゃんはやっと音を聞くことができるようになりました。

 中国では毎年新生児の中で約3万人の聴覚障害者がおり、その6割が遺伝的要因で、つまり遺伝子欠陥と関連しています。これまで臨床上には治療薬はありません。その中で、OTOF遺伝子の突然変異は、先天性難聴によく見られる病因の一つであり、OTOF遺伝子の突然変異による難聴の発病率は41%に達しています。

 復旦大学付属耳鼻咽喉科病院の舒易来教授が主導したチームは、長年の研究を経て、OTOF遺伝子の突然変異に対する難聴遺伝子治療薬を開発しました。2022年6月、このプロジェクトは倫理審査で承認を得て、同年10月、正式に臨床試験に参加する患者の募集を開始し、世界初の遺伝性難聴患児の遺伝子治療を実施しました。

 舒教授は、「耳は他の器官とは異なり、周りは骨だらけで、どのようにしてこれらの薬を蝸牛に正確に届けられるか、挑戦的課題だ」と述べました。そのため、舒教授のチームは低侵襲手術で正確に治療薬を患部に届ける方法と設備を開発しました。現在、この臨床試験の適用年齢は1歳から18歳で、治療後、患児の平均聴力レベルは45デシベルに回復でき、「普通のおしゃべりのデシベルに相当する」ということです。

 舒教授によると、同チームは今後、臨床試験の普及性を模索していくことになっています。これまでの難聴患者は、人工蝸牛や補聴器に頼るしかありませんでしたが、蝸牛を通じて聞こえた音は、実際の音とは異なるものです。遺伝子療法の治療を受けた後、患者は健常者と同じ音が聞こえるようになるということです。(Mou、野谷)

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