AI自動翻訳が中国ネット文学の海外進出を支援

2024-01-08 13:28:15  CRI

 中国作家協会がこのほど発表したデータによれば、「中国産」のネット文学が世界に「文化の奇観」をもたらしています。中国のネット文学は200以上の国と地域に広がり、読者はすでに1億5000万人を超えたとのことです。

△第2回上海国際ネット文学ウイークの開幕式で「2023中国ネット文学海外進出情勢報告」が発表

 しかし、海外では中国ネット文学への需要が旺盛ですが、膨大な作品数に比べれば海外で読まれている作品はごく一部です。これまでに、「海外進出」を果たした中国のネット文学作品は、累計1万6000作ですが、2022年だけでも中国国内で新たに発表された作品は300万作以上に達しました。毎日100万人もの海外読者がモバイル端末を見つめて、オンラインで小説の更新を催促しています。つまり中国のネット文学作品の海外向け供給は需要に追いついていない状態です。

 ネット文学の「海外進出」にとっての最大の難関が翻訳作業です。膨大な作品数に対して、訳者が不足している状況は、ネット文学の大規模な海外進出にとっての足かせです。

 しかし近年になり、人工知能(AI)自動翻訳が中国のネット文学の海外発信に解決策を提供するようになりました。このほど開催された第2回上海国際ネット文学ウイークで発表された「2023中国ネット文学海外進出情勢報告」によると、中国ネット文学市場大手の「閲文集団」傘下の海外ポータルサイト「起点国際(ウェブノベル)」は2023年10月までに、2020年同期比110%増の約3600作の翻訳作品を配信するようになりました。AI自動翻訳によりネット文学作品の翻訳効率が約100倍に向上し、コストが9割以上低減したとのことです。

 中国音響映像・デジタル出版協会の李弘副秘書長は、「現在までに、AI自動翻訳機能を利用してネット文学を英語、スペイン語、インドネシア語、ポルトガル語、ドイツ語、フランス語、日本語などの言語に翻訳できるようになった。恩恵を受けているのは中国のネット文学だけでなく、海外の作者が書いた作品もより多くの読者に読まれるようになった」と話しました。

 一部のネット文学配信プラットフォームが発表した資料によると、人間の翻訳が訳者自身の知識による制限を受けると同じように、AI翻訳モデルの能力も保存されている言語資料の制約を受けます。そのため、AIに可能な限り多く「食べさせる」必要があります。ネット文学作品配信プラットフォームは自然言語理解技術に基づき、作品の内容を深掘りし、大量のネット文学作品と掲示板のすぐれたコンテンツをタグ付けしたり識別したりすることで、機械が作品の内容をよりよく理解できるようにしています。AI自動翻訳は現在までに、ネット文学の特別なジャンルの単語や語句、段落、さらに人名や地名、異世界ファンタジー小説によく出る「金丹」や「解薬(解毒薬)」などの特殊用語も扱えるようになりました。

 しかし、AI自動翻訳の精度が大きく向上したと言っても、そのままで発表することはできません。機械翻訳の結果を訳者が丁寧に校正することが必要です。中南大学の欧陽友権教授は、翻訳の質を確保するためには、「人とマシンの協力」が必要と指摘しました。(ZHL、鈴木)


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