3000年以上前の中国の青銅鼎が機関車トーマスとまさかのかぶり

2023-12-20 11:38:55  CRI

 中国中央テレビ(CCTV)の「ニュース+」サービスプラットフォームと中国国内の博物館が共同で毎日1点の貴重な文化財を紹介する文化系コンテンツ「文博カレンダー」はこのほど、機関車トーマスを彷彿とさせる湖南博物館所蔵の文化財、殷(紀元前17世紀頃~紀元前1046年)代の「大禾人面紋方鼎」を紹介しました。

△殷代の大禾人面紋方鼎

△機関車トーマスの生き写しともとれる殷代の大禾人面紋方鼎

 この青銅製の鼎は中国でこれまでに出土した品の中では唯一、人間の顔の文様で装飾されています。殷・周時代の青銅器には獣面の動物文様がよく見られますが、人物はあまり描かれていません。この「顔」はいったい誰をモチーフとしているのか。いまだに謎が多く、諸説が飛び交っています。目、鼻、耳などの五官のほか、額(ひたい)の両側に角、顎の両側に爪があり、「人間の顔」と言っても、実際は半人半獣のトーテムだということです。中国の先史時代のトーテムの中で、半人半獣は最もよく見られる偶像崇拝の表れだとされています。例えば中国古代の伝説上の帝王「伏羲」と古代中国神話に登場する人類を創造したとされる女神「女媧」の二神は上半身が人間で下半身が蛇という半人半蛇の姿で、雷神は「竜身人頭」のイメージです。

△青玉の人首蛇身飾(河南博物院所蔵)

 このため、専門家はこの「人間の顔」は神様の1人であり、ある部族の伝説上の祖先か部族の英雄、またはその部族の精神的なよりどころとして無から生み出された「英雄」の可能性もあると推測しています。

 この青銅製の鼎の名称は内壁に「大禾」という2文字が刻まれていることから名付けられました。左の「大」の字は前のめりの人の形をしており、右の「禾」は頭を垂れる実った稲穂の形に似ています。「大禾」には稲が豊作になり、作物が人の背丈になるようにという願いが込められているとされています。

△鼎の内壁に刻まれた銘文「大禾」

 大禾方鼎は中国中部の湖南省寧郷市勝渓村から出土しました。湖南省は古くから農業が盛んな地域で、水産物や米などが豊富にとれる土地といわれる「魚米の郷」と呼ばれています。銘文の「大禾」の2文字もこれを裏付けています。

 大禾人面紋方鼎はその唯一性により、海外への持ち出しが禁止されている文化財リストに登録されました。

 湖南省寧郷市勝渓村に住む農民が1958~1959年ごろ、野良仕事の際にこの青銅製の鼎を発見し、ただの銅の塊としか思わずに廃品回収所に売ってしまいました。青銅鼎は銅屑として倉庫に送られ、危うく溶鉱炉に放り込まれるところでしたが、幸いなことに、青銅鼎の一部の破片が、銅屑倉庫に派遣されて文化財の回収に当たっていた湖南博物院のスタッフに発見され、難を逃れました。現在、この青銅鼎は完全に修復されています。(ZHL、坂下)

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