【観察眼】2035年に高齢者4億人を突破 中国で進む高齢化社会への対応措置

2023-10-19 14:25:13  CRI

 旧暦の9月9日にあたる10月23日は重陽の節句であり、中国では法定の「高齢者の日」でもある。秋の盛りの重陽節は「登高節」、「踏秋節」とも呼ばれ、アウトドアの活動を楽しむ人も多い。古代の人々にとって重陽節は、無病息災を祈り、祖先を祭り、豊作を祝う重要な節句であった。その風習は今に受け継がれ、さらに「敬老」と「親孝行」といった意味合いも加わった。中国の高齢化問題はますます厳しくなっており、近年の「重陽節」は親孝行だけでなく、高齢化社会への関心の高まりが感じられる。

 高齢化は世界的な問題であり、中国は世界でも高齢化が進んでいる国の一つだ。中国国家衛生健康委員会、国家高齢化弁公室が発表した『2021年度国家高齢化事業発展公報』によると、2021年末現在、中国の60歳以上の高齢者は総人口の18.9%を占める2億6700万人に達し、さらに65歳以上の高齢者は2億人以上で、総人口の14.2%を占めている。中国はすでに高齢社会に突入している。さらに2035年頃には、中国の60歳以上の高齢者人口は4億人を突破すると推計されている。総人口の30%以上が60歳以上という超高齢社会になるのだ。

 高齢者を敬うことで最も重要なのは、老後の生活を保障することだ。今後、中国政府は「在宅介護90%、社区(コミュニティ)介護7%、施設介護3%」という介護モデルに基づき、在宅介護、社区介護、施設介護の結合を推進していく。中国消費者協会の「2022年養老消費調査研究報告」によると、高齢者が第一に選ぶのは在宅での生活だ。53.81%の高齢者が子供や家族の同居を希望し、41.20%の高齢者は身体的に可能な限り、配偶者と二人あるいは自分一人で自宅介護を受けることを希望している。

 つまり、高齢者は身体的な状況、年齢、収入などの客観的な要因に基づいて、慣れ親しんだ環境での老後を「主体的に」選択する傾向が強いのだ。施設での介護に対する需要は「医療と介護の結合」にシフトしている。また、今回の調査ではサービス従事者への踏み込んだ聞き取りも行われ、現在、専門の高齢者向け機関がサービスをコミュニティにまで拡大し、高齢者の食事、デイケア、医療リハビリテーション、高齢者の電子商取引プラットフォームなど多くのサービスを提供していることがわかった。

 今後の高齢化の進展に対応するため、中国政府は基本的な高齢者サービス体系を整備し、総合的な社会福祉型高齢者サービスの発展に力を入れていく。例えば、基本的な高齢者サービスリスト制度を確立し、サービス対象者、サービス内容、サービス基準、財源や費用負担の問題を明確にし、多くの高齢者がより良い社会保障、より多くの高齢者サービス、より高い生活の質を享受できるようにする。さらに、要介護、認知症、高齢者の慢性病、生活困難などの高齢者層の特別なニーズも重視している。また、中国の高齢化は都市部と農村部の差が著しく、農村部では一人暮らしの高齢者の「空き巣」被害が多い。都市部と農村部の高齢者向けの資源をバランスよく充実させ、互助式の養老施設の建設を強化する必要がある。

 高齢者を敬うことは中華民族の伝統的な美徳であり、高齢者を愛して助けることは社会全体の共同責任である。重陽節が近づくいま、すべての高齢者にとって老後の生活が安心で楽しく安らげるものであることを願っている。(CMG日本語部論説員)

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