【観察眼】海の深い悲しみは誰が救うのか

2023-08-21 15:22:54  CRI

 岸田文雄首相は、米国訪問を終えて帰国した20日、すぐに福島第一原子力発電所に向かい、汚染水の海への放出準備作業を視察した。日本放送協会(NHK)によると、岸田氏が福島第一原発の放射能汚染水放出施設を視察するのは初めて。日本メディアは同時に、日本政府が22日に閣議を開き、福島の放射能汚染水の海への放出スケジュールを決定すると報じた。米韓政府の支持を得て、岸田氏は今回の福島県訪問で福島県の地元の人々に目を向け、支持を得ようとしているとの見方が出ている。これに対し、日本のネットユーザーは、現地の人との「対話」は岸田文雄氏が演じた芝居にほかならず、全く説得力がないとコメントした。

 7月、国際原子力機関(IAEA)は福島の放射能汚染水処理に関する総合評価報告書を発表し、日本の汚染水の海への放出計画は全体的に国際的な安全基準を満たしているとの見解を示した。AFP通信によると、これにより福島の放射能汚染水の海への放出の最後の規制上の障害が取り除かれた。それでも日本側は、米日韓の首脳が出席するキャンプデービッド会談まで、福島の放射能汚染水の海洋放出スケジュールを決めることができなかった。韓国政府の反発を招き、回復したばかりの日韓関係に影響を与えないようにする狙いがあるとみられる。

 放射能汚染事故は日本で起きているが、その汚染水をどうするかは国境を越えたグローバルな問題であり、海への放出は日本をはじめとするすべての国の安全に関わる重大な出来事である。IAEAは報告書を発表し、日本の海への放出案は「全体的に国際安全基準に適合している」としたが、日本国内と関係国は依然として海への放出に強い反対意見を持っており、その安全性が相変わらず疑問視されていることを物語っている。

 特定非営利活動(NPO)法人「原子力資料情報室」(CNIC)の伴英幸共同代表は20日、「環球時報」の取材に対し、「漁業従事者は一貫して反対の立場をとっており、海洋放出をすれば福島県や周辺の漁業に大きな影響を及ぼすことは必至だ。しかし、日本政府が現在取っている一連の措置を見ても分かるように、日本政府は約束を破り、反対意見を無視して、強制的に海洋放出を推進する可能性が高い」と語りました。伴氏はまた、「私たちはとても納得できない。デモや署名などで抗議を続け、最後まで海への放出を阻止するために努力したい」との態度を明らかにした。

 フィジーのNGOである人権連盟はこのほど声明を発表し、日本の汚染水の太平洋への放出計画は太平洋地域のすべての人々の人権を侵害していると表明した。なぜなら、この動きは海洋生物、および海洋資源に依存するアジア太平洋地域の人々の生計にとって大きな脅威となるからだ。声明は日本政府に対し、放射能汚染水の海への放出計画を直ちに停止するよう促した。

 海は全人類の宝だ。日本の放射能汚染水の海への放出は世界の発展と安全にかかわることであり、国際社会は団結し、断固として正義の側に立つべきである。日本政府が国際社会と日本国民の合理的な関心を直視し、海洋放出計画の強引な推進をやめ、誠実な態度で周辺の隣国と十分に意思疎通を行い、責任ある方法で汚染水を処理し、国際社会の監督を受けるよう改めて強く訴える。福島原発事故の痛みを、全人類の子や孫の世代にまで負わせることのないようにしなければならない。(CMG日本語部論説員)

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