【観察眼】未来の世界に清らかな青い海を残そう

2023-07-24 14:16:21  CRI

 日本では7月17日が国民の祝日の「海の日」だった。多くの人が家族や友人と共に海辺と陽光を楽しんだ。青い海は夏のレジャーには最高の場所だ。公休日を設けてまで国民に海を楽しませる国は世界でもまれだ。日本にとって海がいかに大切であるかが、よく分かる。仮に他国が海洋に汚染水を放出するなら、島国である日本は真っ先に反対するはずだ。しかし今、日本自身がそのような選択をした。このことはうやむやにできない。

 日本国内では核汚染水の海洋放出に反対する声が続いている。共同通信社が7月16日までの3日間にわたり実施した全国電話世論調査では、海洋放出に関する政府の説明を「不十分」とする回答が約8割に達した。ほとんどの人が、放出計画の内容と起こりうる危害について理解していない。日本政府の関係省庁は、説明責任を果たさなかったり、意図的にはぐらかして、国民の多くが事情を知らないうちに汚染水放出計画を進めている。

 福島漁業協同組合連合会の野崎哲会長は、ALPSで処理された水の海への放出に反対という立場を取り続けると表明してきた。20日には汚染水の放出に反対する人々が、日本の経済産業省と東京電力本社前で漁業の保護を求めるデモを行った。日本政府と東京電力は2015年に、福島県漁連に対して「関係者の理解なしには、いかなる処理も行わない」と書面で約束した。今に及んで海洋放出に向けた計画が進んでいることについては「約束違反」とされる。このようなやり方で、国民を納得させることができるだろうか。

 福島で生まれ育ち、東日本大震災、津波、福島原発事故を経験した織田千代さんは環境保護活動を続けている。日本政府は放射能汚染水の処理に関して五つの案を提示したが、選択したのは費用が最も低く環境被害が最も大きい海洋放出だった。織田さんは「このようなやり方は容認できない」と表明した。織田さんは地元の環境活動家らと共に、汚染水の海洋放出計画に社会の各界が共に反対することを目指して市民グループ「これ以上海を汚すな! 市民会議」を立ち上げた。織田さんのような地元の人々は、汚染水放出の被害を最も強く受ける。それだけに、最も大きな発言権を持っている。彼らの声は最も末端にあり、原発事故の現場に最も近い人々の声を代表している。織田さんは、「福島の現場団体の7割は核汚染水の海への放出に反対している。漁業従事者は安心できる食材を提供するために努力することを望んでいる。核汚染水の放出の誤りを本当に認識すれば、皆が反対するはずだ」と述べた。

 日本の経済産業省は、海洋放出に伴う風評影響を最大限に抑制することを目的に対策基金を設けたが、反対する声はやまない。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が15日と16日に実施した合同世論調査では、海洋放出計画についての意見が18~29歳では賛成が49.5%、反対が49.8%で、ほぼ拮抗した。この年齢層では海洋放出への支持率が最も低かった。若い世代は自分自身の未来のために長い目で考えねばならないからだ。

 海洋放出計画をめぐっては、国際的な反対を別にしても、日本国内ですら広範な支持は得ておらず、正当性、合法性、安全性が問われている。すぐに計画を中止し、より安全で信頼性の高い処理方法を選ぶのが賢明な選択だ。

 日本の「海の日」は7月の第3月曜日で、来年は7月21日だ。やはり大勢の人々がこぞって海辺に行こうとするはずだ。来年だけでなくその後も、さらには私らの世代が終わった後も、子供らは陽光を浴びながら海辺で素敵な休日を楽しむことができるだろうか。海洋放出計画を推進している人よ、ただちにやめなさい。(CMG日本語部論説員)

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