【観察眼】「中国は先進国」と主張してくれる米国その期待に応えよう!

2023-06-13 10:56:10  CRI

 世界で最も中国の発展を「認めている」国はどこか。それは米国にほかならない。では、米国は中国の繁栄や14億人の生活の改善を喜んでくれているのだろうか。他国の順調な発展を快く思い、紳士的な態度で向き合ってくれているのだろうか。そして米国は再三にわたり、「中国は発展途上国ではなく先進国であると」主張して“くれている”が、なぜなのか。「酔翁(すいおう)の意は酒にあらず」という言葉の通り、真のねらいは別のところにある。

 米下院は今年3月27日、「中華人民共和国は発展途上国ではない」とする法案を可決し、「中国は先進国である」と宣言した。そしてこのほど、米議会上院外交関係委員会が、中国の発展途上国としての地位をはく奪する法案を米上院の全体審議のために提出した。しかし、その国が先進国かどうかを、他国が投票で決めるという行為を、異常だとは思わないのだろうか。「わが家の家計が苦しいかどうかを、ご近所の佐藤さんが判定して口出ししてくる」などという慣習が、日本にはあるだろうか。「わが家で車を買えるかどうかを、お向かいの李さんが判断する」などという風習は、中国にも無い。では、米議会は投票で「中国は発展している」と認めて、何がしたいのであろうか。「発展の先輩」として褒めてくれるつもりなのか。もちろん、そんな甘い話ではないだろう。

 先進国と発展途上国というのは世界的な概念であり、そこには統一された基準がある。どちらに属するかは、一般的に「人間開発指数」(HDI)という指標を用いて判断される。HDIは「健康(平均余命指数)」「知識(教育指数)」「生活水準(1人当たりの国民総所得・GNI)」から算出されるもので、国連開発計画(UNDP)が1990年に初めて提唱した。以降、UNDPは毎年「人間開発報告」を発表しており、この指標に基づいて各国を採点しランキングしている。そして、2022年9月に発表された最新の「人間開発報告21-22」によると、中国の得点は0.768で、190以上の国(地域)の中で79位となっており、発展途上国に属する。

 UNDPだけでなく、世界銀行などの経済機関にも独自の評価基準がある。世界銀行はGNIを基準にしており、高所得国を先進国としている。高所得国の基準は定期的に調整され、2019年は1万2536ドル、2022年は1万3589ドルだった。中国のGNIは2019年に1万410ドル、2022年に1万2608ドルで、いずれも高所得国の基準に達しておらず、発展途上国に属している。いずれの機関の基準においても、中国が発展途上国であることは明らかである。

 さて、米議会はなぜ、こうした判断基準を無視することに熱心になっているのだろうか。それは、中国に発展途上国としての政策的恩恵を与えたくないからだろう。国際的な金融機関は、途上国に対する低利子の開発資金提供を実施している。また、世界貿易機関(WTO)は貿易ルールにおいて途上国に優遇政策を適用している。経済発展レベルが相対的に低く、より多くの援助と支持を必要とする発展途上国に対するこうした優遇政策は、共同繁栄の精神の表れである。だが、米国は中国が発展途上国であるという事実を否定する、その本当の目的は、外交部の汪文斌報道官が述べたように、「中国の発展途上国としての地位を奪うことを、中国の発展を抑制するカードとすること」にある。

 一つ分かったのは、米国は非常に器が大きく、中国がどれだけ早く「本物の先進国」になって発展度合いで米国に迫ったとしても、どうやら気にしないらしいということだ。ならば、中国は努力を続けるのみ。友人である米国の期待に応えようではないか!(CMG日本語部論説員)

 キャプション:アジア経済研究所より引用

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