中国 無淡水化海水のインサイチュ法電気分解による水素製造を実現

2023-06-07 13:53:32  CRI

 中国工程院はこのほど、同院の謝和平院士(アカデミー会員)が率いる研究チームと中国東方電気集団有限公司が共同で実施した、世界初の洋上風力発電無淡水化海水のインサイチュ法による直接電気分解水素製造技術の洋上パイロットテストが成功したと発表しました。

△浮揚式洋上水素製造プラットフォーム「東福1号」

 今回の洋上パイロットテストは5月中旬と下旬に福建省興化湾の洋上風力発電所で実施され、共同開発による世界初の再生可能エネルギーと結びつけた浮揚式洋上水素製造プラットフォーム「東福1号」で、インサイチュ法(その場)による水素製造、インテリジェントなエネルギー変換管理、安全検査・コントロール、積み下ろし・昇降などのシステムを一体化し、風速17.2~20.7 メートルの「非常に強い風」、1メートルほどの高い波、豪雨などの海洋環境の試練に耐え、240時間以上連続で安定稼働していました。

 水素は海水から取り出せば無尽蔵です。海水から水素を求めることは今後の水素エネルギー発展の重要な方向性とされています。しかし、海水の成分は複雑で、90種類以上の化学元素および大量の微生物と粒子を含んでおり、強い腐食性と毒性を持つため、触媒失活、電気分解効率が低いなど重要技術におけるボトルネックが多数存在しています。海水を原料として間接的に水素を製造する場合、大規模な淡水化設備に大きく依存し、製造プロセスが複雑である上、広大な土地を必要とすることから、製造コストが高く、大規模な建設工事をおこなわなければなりません。一方、海水を直接電気分解して水素をつくる面においては、半世紀以来、海水の複雑な成分の電気分解による水素製造システムへの影響を徹底的に回避できる画期的な理論が欠如しています。

△浮揚式洋上水素製造プラットフォーム「東福1号」

 中国工程院の謝和平院士は、「無淡水化海水のインサイチュ法直接電気分解による水素製造技術は、伝統的な化学の枠から飛び出し、蒸気圧力差の物理力学駆動により、海水中の90種以上の複雑な元素および微生物の電気分解による水素製造に及ぼす影響をすべて排除し、真水による水素製造という伝統的なモデルを打破した」と述べました。無尽蔵の海水から直接水素を製造し、さらに洋上風力発電技術と組み合わせることにより、今後、世界のエネルギー開発の道筋がさらに開かれるものとみられています。(ZHL、野谷)



ラジオ番組
KANKAN特集