人口問題を口実にした「中国衰退論」は間違いである=拓殖大・富坂聰教授

2023-04-24 17:02:43  CRI

 中国の人口は2023年夏にもインドに追い抜かれるという国連人口基金(UNFPA)の最新発表を受け、「中国は人口減で復興の目標から遠ざかっていく」と、一部の西側メディアは早々に「中国衰退論」を煽り立ています。そうした論調の台頭を受け、元ジャーナリストで現在は拓殖大学で現代中国を研究する富坂聰教授は24日、中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/CMG)のインタビューに対し、「純粋な分析というより願望に近く、極めて政治的だ」との見方を示しました。

拓殖大学海外事情研究所 富坂聰教授

 富坂教授は、「人口減少は経済規模の拡大に確実に影響を及ぼすが、中国はかなり前から規模よりも質を重視しており、その一つが新規雇用の創出、もう一つが可処分所得の向上である点を見過ごしてはならない。一国の経済は、一人当たりの生産性を伸ばせない場合に人口減が一定の影響を及ぼすはずだが、現状で中国の衰退を予測するのは間違いである」と指摘しました。そのうえで、中国衰退論には、「いまや世界の経済成長の貢献度が30%にも達する中国経済の衰退は、世界の衰退を意味することを忘れている。中国が空けた穴を直ちにインドが埋めてくれるということにはならない」と根本的な疑問を投げかけました。

 さらに、近年、西側メディアや出版界で喧伝されている「中国崩壊論」については、富坂教授は日本で起きている事象を例に、「ここ10年だけをみても、毎年何十冊と『崩壊』を予言する本が出ている。実際の中国の経済は、崩壊どころか成長をしているのに、間違いが修正されることはなく、『今度こそ崩壊』と、同種の本が出続ける不思議な現象だ」としたうえで、「実質的には自国経済への逆風である『中国経済の衰退予測』を嬉々として取り上げる心のねじれは、自分たちの抱える問題の多くが中国という障害によってもたらされているという思い込みに起因している。ある種のゼロサム思考で、現実とはかけ離れているが、そう考える方が楽で心地良く、その思考から離れることができない」と、商業ジャーナリズムにあるゆがみを指摘しました。(取材:王小燕、校正:MI)

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