【観察眼】困ったときの助け合い 「人類運命共同体」はただの概念にあらず

2023-02-16 14:43:23  CRI

 トルコ南部のシリア国境近くで起きた大地震が引き続き世界の注目を集めている。地震発生後、中国政府はいち早く緊急人道支援をスタートさせ、政府と民間の救援隊も被災地に急行し、国連や世界各国からの救援隊と協力して捜索・救助活動に取り組んでいる。

 このうち、中国政府派遣の救援隊は現地時間2月8日、大地震で大きな被害を受けたハタイ県のアンタキヤ市に到着し、直ちに捜索活動に入った。中国の民間からは、14日の時点で援助隊17チーム、440人余りが被災地での活動を実施している。

 実は、中国の国際緊急救援の歴史はまだそれほど長くない。ナショナルチームである「中国国際救援隊」は2001年に設立され、国際人道救援を実施するのは今回が12回目となる。しかし、同隊と2018年設立の「中国救援隊」は、いずれも国際捜索・救助諮問グループ(INSARAG)が実施する都市型捜索救助の分類基準の最上位である「Heavy」の認証を受けた国際捜索救助隊となった。また、中国の各省もそれぞれ省クラスの救援隊を有している。

 さらに、民間でも、2003年末に救援隊が立ち上げられた。発起人は、アウトドアスポーツやボランティア活動に熱心な愛好家たちだった。その後、中国では民間救援隊が相次いで設立され、人数を増やしてきた。その内、最大規模の救援隊は現在、登録ボランティアが5万人となっている。

 改革開放や2001年の世界貿易機関(WTO)加盟などをきっかけに、中国は高度経済成長を続けてきた。それに伴って、アウトドアを含む人々のレジャーも多様になっている。そうした経済・社会的背景に加え、中国はいま9.5億人のスマートフォンユーザーに、3億人のソーシャルメディア(SNS)利用者を有している。これらが、ボランティア組織拡大の追い風となっている。

 トルコ南部で最初の強い地震が発生した後、SNSをベースに「トルコ地震救援情報交流グループ」が直ちに結成された。メンバーは国際緊急救援活動の経験を持つ中国の救援隊・公益団体10団体余りの関係者と責任者である。同グループは3日後にトルコ救援をテーマにしたディスカッションをライブ配信し、視聴者5000人を引き付けた。

 同情報グループの発起人である郝南氏は現在、自らが設立した公益団体を運営すると同時に、中国災害防御協会地震応急救援専門委員会の常務副主任委員も務めている。国際人道支援の分野の権威である国連人道問題調整事務所にも3カ月間勤務した経験を持つ。

 郝南氏の生い立ちから分かるのは、中国がこれまで世界との交流の中で学び続け、進歩し続けてきたことだ。そして今回、中国の複数の民間救援隊がトルコ・シリア大地震の被災地に速やかに駆けつけた事実は、中国が世界からの学びを還元すべく、実践していることを示しているといえよう。

 もう一つ、言及しておきたいことがある。それは、郝南氏を含め、今回の被災地救援に参加した関係者の中には、2008年の四川大地震での救援活動に従事した者が少なくないことである。当時、四川に駆けつけた国際救援隊の中には、トルコの人々の姿もあった。「自然災害を前に国境は無い、今度は中国の出番だ」、そんな気持ちを、中国の救援隊メンバーたちは抱いている。

 このほかにも、被災地にこそ赴いていないが、捜索活動を情報面でサポートし続けているボランティアたちも大勢いる。2月11日、再建支援に着目した「中国民間による国際人道援助協力プラットフォーム——トルコ・シリア地震」というメカニズムが、中国の公益基金が中心となって立ち上げられた。同基金は、被災地の緊急支援や被災した人々への生活支援、復旧・復興活動に参加する意思のある民間人や民間団体に、支援の提供を続けていく。

 困ったときの助け合い。政府から民間まで、救援物資の提供から救援隊の派遣まで、そして、時間との戦いである捜索・救助活動から長期を見据えた復興支援まで。中国は責任ある大国のとるべき立場と姿勢、そして、「人類運命共同体」は決して中身の伴わないただの概念ではなく、一つ一つの取り組みとして表れていることを、行動で示している。(CMG日本語部論説員)

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