【観察眼】「オープン、コネクト、バランス」 重要視されるAPECメンバーの共同実践

2022-11-17 19:51:43  CRI

 2022年アジア太平洋経済協力会議(APEC)非公式首脳会議が今月18~19日にタイのバンコクで開催される。同会議がオフライン形式で開催されるのは、コロナ発生以来初めてのことで、各経済体(エコノミー)の首脳らは3年ぶりに顔を合わせる。各側は今回の会議が団結と協力を強化し、地域経済の回復と発展の推進につなげられることを期待している。

 今年の会議のテーマは「オープン、コネクト(連結)、バランス」。貿易と投資の自由化を目指した「ボゴール目標(Bogor Goals)」が実施された26年間、APEC各メンバーは積極的に市場開放を拡大し、地域の貿易・投資の自由化・円滑化を推進してきた。域内平均の関税水準は13.9%から5.2%に低下し、半分近くの品目で関税ゼロを達成した。各経済体が参加する自由貿易協定の数は約8倍増え、そのほとんどにサービス業の開放に関する内容が含まれている。

 開放を進めていけば、相互連結も進む。アジア太平洋地域の各経済体は長年にわたり相互連結の計画を実行に移し、インフラ、人員、物流、資金、データの安全かつ秩序ある相互連結を推進してきた。コロナが長引き、世界経済の回復が力強さを欠く現在、産業チェーン・サプライチェーンの安全な開放と円滑さを確保すると同時に、各分野における相互連結をさらに深めることが、同地域の経済活性化の鍵となっている。

 APECのメンバーには先進国も新興市場国もあり、それぞれ政治体制や政策・理念、文化・慣習、利益の重点が異なっている。そんな中で「バランス」が重要となってくる。APECは設立以来、自由意思、協調、自主性という原則に基づいてメンバー間の協力を推進し、発展レベルの異なるメンバーの権益と需要に応える中でバランスを図ってきた。同時に、経済・技術協力と貿易・投資自由化とのバランスも重視し、この「両輪」を共に回転させてきた。こうしてAPECは、メンバー間の格差を縮小させ、地域経済のバランスのとれた包摂的な、持続可能な成長に向け取り組んでいる。

 中国にとって、APECは改革開放後に参加した初めての地域経済協力組織であり、APECへの参加は中国が経済グローバル化に深く参与していることを示す一里塚でもある。APECに参加して以来、中国も絶えず「オープン、コネクト、バランス」を実践している。APEC参加後の31年間で、中国の平均関税は39.5%から7.4%前後へと大幅に下がった。2020年時点で、中国とAPECメンバー間の貿易額は2兆8700億ドルに達した。中国は質の高い「一帯一路」共同建設を推進し、アジア太平洋地域の相互連結のためにより大きなプラットフォームを構築している。また、アジアインフラ投資銀行とシルクロード基金の設立を提案し、アジア太平洋地域の新たな投融資プラットフォームを作った。さらに、APECのメカニズムと能力の向上を支援するために1000万ドルを拠出し、途上国メンバーの貿易・投資などの分野における能力づくりを支援するために1500人分の研修枠を提供している。このほか、中国国際輸入博覧会、中国国際消費品博覧会、中国国際サービス貿易交易会などのハイレベルな展示会を通じて、各経済体にますます多くのビジネスチャンスを提供している。中国はアジア太平洋地域に根を下ろし、この地域を建設し幸せをもたらすという決意を実際の行動で示している。

 近年のAPEC会議で、中国の習近平国家主席は開放・包容、革新・成長、相互連結、協力・ウィンウィンを特徴とするアジア太平洋運命共同体の構築を提起してきた。また、先月開催された中国共産党第20回全国代表大会で発表された報告は、「中国は対外開放を堅持し、互恵・ウィンウィンの開放戦略を実施し、自国が発展する中で世界に新たなチャンスを提供しつづけていく」と改めて表明した。今回のAPEC会議では、アジア太平洋運命共同体の構築をめぐってどのような議論が行われ、中国が地域の発展にどのようなアイディアで貢献するのかが、注目の的となりそうだ。(CMG日本語部論説員)

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