北京
PM2.577
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中国では、「五十にして天命を知る」という言葉がある。孔子の名言を記述した古典「論語」によるものだ。では、「天命」とはいったい何だろう。宿命ではなく、天から与えられた使命のことだ。生涯も半分過ぎた50代、ようやく生きる知恵を悟り、信念を失わず、方向を迷わず、人生の使命がわかってくる。
中日関係も「天命を知る」年を迎えた。
50年前の1972年9月29日、中日両国政府は友好と平和のために、「中日共同コミュニケ」に調印し、ようやく国交を正常化した。50年来、中日間の協力と交流は絶えず拡大し、両国首脳による重要な共通認識の精神に導かれ、中日関係に四つの政治文書の原則的基盤が固められた。
経済面では、50年前の1972年、中日の二国間貿易額は10億ドル足らずだったが、昨年は新型コロナウイルスによるダメージを受けながらも、3700億ドルの新記録を塗り替えた。中国は日本にとって最大の輸出相手国、日本はASEAN、EU、米国に次いで、中国にとって4番目に大きい貿易パートナー、2番目に大きい貿易相手国となった。さらに今年は地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の正式発効により、同じくメンバー国の中国と日本はより多くの実利と潜在的な恩恵を受け、両国の経済貿易協力はよりいっそう緊密になってきた。
また、人的往来や文化交流の面では、一衣帯水の地理的関係に恵まれ、中日間の交流は悠久の歴史があり、紀元前の秦や漢の時代から、2000年以上にわたって今日まで続いてきた。漢字、儒学、茶道、建築、飲食……中日両国は文化面で多くの共通点を持ち、東洋文明への尊重や自然の道への憧れなど、共鳴する部分が多くある。この50年で両国の人的往来は盛んになり、コロナ発生前の年間相互訪問者数は1200万人の大台を突破した。
あらゆる面から見ても、中日友好には数え切れないほどの必要性と理由がある。しかし残念なことに、国交正常化の当初と比べ、今日の中日関係には妙な「距離感」が存在し、さらにそれは拡大しつつあり、心の「壁」がどうも冷たく厚くなってきたようだ。それはなぜだろう。
まず、日本の一部政治勢力には逃れられない責任があるだろう。彼らは絶えず「中国脅威論」を煽りたて、イデオロギーの違いを強調し、多くの場で中国を中傷したり、一部の域外国家と結託して中国を制圧しようと企てている。これは中日間の政治的相互信頼をひどく損なうほか、日本の民意をミスリードし、中国の国民感情を傷付け、両国の世論環境を悪化させた。
また、中国の発展と成長を受けて、一部の日本人の対中意識に不安感や嫌悪感が広がっている。失われた30年を経験した自国への不満や失望に加わり、どうも自信が持てず、中国のことを協力パートナーではなく、仮想敵と思い込んで警戒しているようだ。これは実に残念なことだ。
日本人にもよく尊敬される、中国の三国時代の天才軍師、諸葛孔明はこんな言葉を残した。「士之相知、温不増華、寒不改葉、能四時而不衰、歴険夷而益固」。彼は賢人同士の付き合いを花や木にたとえ、四季の変化を凌ぎ、困難と試練に耐えて初めて、真の友情が育まれると説いている。
国同士の付き合いも同じだ。新時代における中日関係は激動する国際情勢とコロナ禍に遭遇し、様々な困難と試練に晒され、多くの危機と機会に直面している。いかに未来を見抜き、中日関係の「天命」を把握するのか、おそらく中日両国数世代の努力が必要だ。
国交正常化の初心を守り、中日間の四つの政治文書の原則を順守し、歴史からの経験を学びながら教訓を汲み取り、平和・友好・協力という正しい方向をしっかりと目指す。そして、中日関係に芽生えた得がたい成果を大切にしながら受け継ぐことが、今の時代が私たちに与えた「天命」なのだろう。(CRI日本語部論説員)