中日の経済貿易、デカップリングはありえないー中国社科論壇2022から

2022-09-06 11:51:25  CRI

 9月29日は中日国交正常化から50年となります。これまでの半世紀、中日両国は人的往来、経済・貿易をはじめ、様々な分野で持ちつ持たれつの関係を構築してきました。中でも、経済貿易関係が両国関係のバラストとされてきました。

 一方、今年に入ってから、今年で3年目に入ったパンデミックの影響に世界や地域情勢の動向が相まって、中日関係に多くの不確実性要素が加わりました。米国で喧伝されている中国経済との「切り離し(デカップリング)論」を背景に、今年5月に「経済安全保障推進法」が日本で成立。中国への対抗を主に想定して作られた法案だと思われています。こんな中、両国関係の安定装置として高く評価されてきた経済貿易関係はいまどのような状況にあり、今後はどこに向かおうとしているのか。先週に引き続いて、中国社会科学院が主催した中日国交正常化50周年記念国際シンポジウム(中国社科論壇2022)で議論された内容を抜粋してお伝えします。

 【中国人識者の発言から】

左から劉延東元副総理、孔鉉佑大使、馮維江研究員

<劉延東元副総理>

 デカップリング論は経済法則にも合わなければ、両国の利益に反し、地域の共同発展にも不利です。「双循環」という新たな経済構造を目指す中国と、成長・分配の好循環を掲げている日本との間には、新たな経済協力のチャンスがあると思います。

<孔鉉佑中国大使>

 協力・ウィンウィンの旗印を高く掲げ、新たな成長点を絶えず育成・構築し、協力の質とレベルを高め、共通利益のパイを拡大していきたい。勝ち負けばかりを意識する競争の論理で、経済貿易協力を定義するのではなく、人為的な障害物を作り出すことに断固反対します。

<中国社会科学院世界経済政治研究所・張宇燕院長(馮維江研究員代読)>

 中日両国はこの50年で、世界で希れにみる広くて深いつながりを築き、持ちつ持たれつの発展共同体になっています。これからは経済面の政策協調を通じて、地域的な包括的経済連携(RCEP)を基軸にアジア太平洋地区での経済貿易協力を切り開き、グローバル公共財に関する研究を深めることを提案します。

【日本人識者の発言から】

左から河合正弘氏、丸川知雄氏、瀬口清之氏、山口廣秀氏

<元アジア開発銀行研究所長、東京大学・河合正弘名誉教授>

 日本の海外直接投資の収益率は世界平均の7%に対し、対中国投資では16%と高い。日本企業にとって、中国は投資先、輸出先、輸入相手国として非常に重要な地位にあります。

<東京大学社会科学研究所・丸川 知雄教授>

 日本の対外貿易の20%以上、年によっては約25%が中国との貿易が占めています。日中間の貿易摩擦も極めて少ない。こうした状況を今後長く続けていってほしいと思います。

<キヤノングローバル戦略研究所・瀬口清之研究主幹>

 中国が改革開放で積み重ねた堅固な経済基盤は、簡単には変化させられることができません。日米欧の企業経営者は、「少なくとも2035年までは、中国に代わる魅力的な市場は世界中のどこにも存在せず、今後も積極的な投資姿勢を堅持していく」と考えていることを深く認識するべきです。

<日本銀行元副総裁、日興リサーチセンター・山口廣秀理事長>

 両国は世界第2と第3の経済大国として、マクロ経済対策、経済金融連携など共通して抱る課題に対して、協力して答えを見出していかなければならない課題がたくさんあります。そのことをぜひ認識して、次の50年に向けて手を携て努力することが必要だと思います。 

【リンク】

 中日国交正常化から50年、学識者たちがいま考えていること――中国社科論壇2022から

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