北京
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中国宇宙ステーションの実験モジュール「問天」と等身大のイメージがAR(拡張現実)によりスタジオに再現され、宇宙に「出張中」の中国人宇宙飛行士3人がオンラインで「問天」を案内してくれる。スタジオで参加した子どもたちからは感嘆の声が上がった。
これは中央広播電視総台(チャイナ・メディア・グループ/CMG)と中国教育部が共同で企画・制作した大型公益番組『開学第一課(新学期の初授業)』である。この番組は2008年から毎年9月1日の新学年が始まる日に、全国の小中学生に向けて放送されている。今年の番組はARやCG(コンピュータグラフィックス)など最新のデジタル技術を採用し、タイムラプス撮影によって再生稲(1度の播種で2期収穫する稲)のダイナミックな成長過程を紹介したほか、氷床コアと岩のサンプルの掘削過程、子どもとアジアゾウとの親密な交流の様子などを伝え、子どもたちの視野を広げ、想像力を刺激した。宇宙飛行士、スポーツ選手、科学者、森林保護要員など各業界の代表者らが続々と登場し、「オンライン教室」で各地の小中学生を対象に、生き生きとした「新学期の初授業」を楽しく行った。
中国では、9月1日は幼稚園、小中学校、大学の始業日である。この日、多くの児童、生徒、学生らが初めて幼稚園に入り、小学1年生になり、大学生活を迎え、人生の新しいページを開いた。新学期が始まるにあたり、子どもたちが新しい学校生活を楽しめるように、社会全体がサポートしている。
江蘇省蘇州市の公共交通グループは25本の「学校専用バス路線」を開通している上に、9月1日からさらに15本の「通学バス路線」を開通し、約6万人の教師と学生に便宜を提供している。浙江省湖州市のある幼稚園は、子どもたちを労働実践基地に連れて行き、稲作や草刈り、収穫などの農作業を体験させ、食のありがたさを改めて教えた。貴州医科大学付属病院は重い病気で入院している子どものために「病室学校」を設置し、絵画、手細工、読書、カウンセリングなどの授業を開設し、子どもたちの入院生活を豊かにした。
ところが、海の向こうにあるあの国では、子どもたちの新学期を迎えるためにどんな準備が行われていただろうか。
先日、米国の2児の母親がソーシャルメディアでこんな動画を公開した。今年5月に米テキサス州の小学校での銃乱射事件が発生した後、この母親は5歳の息子に「防弾ランドセル」を買い与えた。息子の数日後の登園前に、この母親は息子と自宅で銃乱射事件への対応を「演習」した。動画の中で母親は息子に「もし先生が、これは演習ではなく、みんな隅に隠れて静かにして動かないようにと言ったら、あなたはどうする?」と尋ねた。すると、息子はランドセルを持って家の隅に行きながら、「隅に隠れて、静かにして動かない」と答えた。そして自分の小さな体をできるだけランドセルの後ろに隠れるようにした。
この動画は公開されてすぐに話題になり、アクセス数は数百万回に上り、たくさんのコメントが寄せられた。多くのネットユーザーが「5歳の子どもに銃撃犯との向き合い方を学ばせるなんて残酷すぎる」「米国では銃乱射事件がますます増えていて、すべての米国人家庭が直面しなければならない現実となっている。可能な限り子どもが銃乱射事件から生き残るように準備しないといけない」などと投稿している。
5歳という年齢は、何の悩みもなく天真爛漫に過ごす年齢で、積み木で遊んだり、アニメを見たり、ままごとをしたりする年齢であろう。しかし、米国の5歳児は銃乱射事件から身の安全を守る方法を学ばなければならない。そんな幼い子どもが「スパイダーマン」のイメージが印刷されたランドセルの後ろに不安そうに隠れている様子を見て、米政府はどう思うのだろうか。米国側は早急に有効な措置を講じて、国民の生命の安全を保障すべきである。米政府には国民が銃暴力への恐怖を抱えながら暮らすことのないようにし、子どもたちに安全で安心して育つ環境を提供するよう心から勧告したい。さもなければ、本当に危険が迫ってきた場合、子どもたちは「スパイダーマン」や「スーパーマン」に救われることを祈るしかないかもしれない。(CRI日本語部論説員)