【観察眼】世界的な食料危機を煽る黒幕は?

2022-07-22 11:34:48  CRI

 何でも中国に言及することが、米国の政治家にとって存在感をアピールする神器になっているようだ。ツイッターでは、一部のネットユーザーが細心に数えたところ、米政治家が中国の話題を取り上げた頻度は自国のそれよりも多い。最近、米政治家は中国の食糧に目を向けた。サマンサ・パワー米国際開発庁(USAID)長官は、中国の肥料や穀物の輸出制限が東アフリカの食料危機を激化させたと非難し、それを口実に、「中国国内の農産物の生産・在庫・備蓄などに関する情報の共有」を強要した。

 さすが「米国第一」、どれほどわがままで横暴な要求だろうか。もし米国が本当に東アフリカの食料問題に気を配るなら、直接自国のドルや食料をシェアしたらどうか。世界唯一の超大国として、米国は1億5800万ヘクタールに及ぶ世界最大規模の良質な耕地を持っている。米国の総人口は3億ほど。平均2人で1ヘクタールの耕地を持っている。十分な食料が確保されているのなら、飢えている他国の人々にシェアしてこそ、世界リーダーの身分にふさわしい。

 また、国際食糧市場で8割以上の穀物を取り扱う4大穀物メジャーのうち、フランスのルイ・ドレフュス以外、前三位のアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)、ブンゲ、カーギルはいずれも米国商社だ。今年5月までの2021年の財務報告によると、カーギルの純利潤額は前年同期比64%増で、史上最高を記録。ADMとカーギルの株価は1月と比べ、それぞれ50%と40%上がった。米国の穀物商社が国際市場でこれほど儲けているなら、ある程度の収益、または収益を上げる秘訣を世界に共有してくれればいい。

 「石油を支配すれば、全大陸を支配できる。 食糧を支配すれば、人間を支配できる・・・」これはキッシンジャー元米国務長官の名言だ。国際食糧市場をコントロールし、食料を兵器に他国の富を奪う。これこそ、「米国第一」の戦略だ。米国は自国の食糧生産量を控え、長年、不耕起栽培を実施してきた。米政府は巨額の手当てをきょ出して、耕起の深さや回数を減らし、大量の農地を耕さずに放置しておく。一方、食卓では巨大な浪費を放任する。米農業省のデータによると、米国では毎年30~40%の食料が浪費され、2018年に浪費された食料は1億300万トンだった。食料問題の解決に1人当たり年間400キロの穀物が必要だという国連の基準で換算すれば、これらの食料は2億5000万人の1年にわたる食問題を解決できる。

 さらに、米国では大量の食料がバイオ燃料の生産に使われている。米CNNの報道によれば、2021年、米国でバイオエタノールの生産に使われた食料は4500万トンで、バイオディーゼルが加わると、計1億7000万トンの食料がバイオ燃料の生産に使われた。これは4億人が1年に必要な食料に相当する。

 USAID長官は中国を非難したが、今年4月にUSAIDがシリアに提供した「毒種」の件をまだ覚えているだろうか。シリア農業部門の検査により、USAIDから提供された3000トンの小麦の種のうち、4割以上の1200トンから病原線虫のコムギツブセンチュウが検出された。このような種を栽培すれば、収穫どころか、シリアの農業生産に深刻な病虫害をもたらし、致命的なダメージを与える恐れがある。毒種を送る一方、駐シリアの米軍は40台以上のトラックを派遣して、シリア産の小麦を盗んで外国に輸送した。

 米国の政治家にとって、シリア、アフガニスタン、アフリカなどの食料危機はどうでもいいのだろう。同盟国の友人でさえ、米国の政治的計算に利用されるコマに過ぎない。

 ロシアとウクライナの衝突が発生してから、ウクライナの農産物輸出は大幅に減少し、ロシアの食糧や肥料も制裁を受け、輸出が制限されている。これに伴って、インドを含む21カ国は相次いで食料の輸出制限を発表し、国際食糧市場で需給のアンバランスが続き、食料価格に大きな波動が見られた。食料危機、石油危機、債務危機……世界第一の投機者である米国は「ヨーロッパの戦争」を望んでおり、欧州の崩壊によって自国の覇権を固めようと企てている。

 不思議なことに、これほど深刻な世界的食料危機を前に、日本は7月12日のイエレン米財務長官の訪日の際、米国と一緒に国際食料安全問題の解決に取り組むと約束した。

 データによれば、日本の食糧自給率は2020年の37.71%に下落し、1965年以来の最低水準となった。世界範囲から見ても、37.71%の食糧自給率は低いレベルだ。しかし、食糧自給率わずか37.71%の日本は147%の食糧自給率を誇る米国と、国際食料安全問題の解決に取り組む。日本の国土面積は37.8万平方キロで、米カリフォルニア州(42.4万平方キロ)にも及ばない。どれほど優れた農業技術に恵まれても、日本の食糧生産には限りがある。しかも、当面の日本は24年来の記録的円安に晒されている。米国との「約束」で日本は何を得られるのか、何を失うのか。

 米政府の計算は自国メディアの批判まで招いた。米財務省は7月14日、農産物、肥料、医薬品などは対ロシア制裁から除外すると、ロシアとの取引の詳細について説明した。これに対し、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は報道で、燃料、食料、肥料のコスト高騰による世界範囲の怒りに火をつけ、米財務省はとうとう説明を余儀なくされた。ウォール・ストリート・ジャーナルが綴ったように、「ワシントンが世界的な燃料と食料危機から責任を逃れようとしても、もう遅いだろう」。(CRI日本語部論説員)

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