北京
PM2.577
23/19
ここのところ、日本の「台湾」関連の言動がずいぶんと活発である。とりわけ、バイデン米大統領のアジア歴訪の後、つまり、日米首脳会談と日米豪印のクアッド(QUAD)首脳会合が開催された後に集中して起きている。台湾関連議題に対する日本の姿勢は、その対中国戦略の方向性を映し出しているため、中国にいる人間として注目せざるを得ない。
日本メディアの報道によると、日本の防衛省は今夏、日本台湾交流協会に「現役」の防衛省文官職員を初めて常駐させ、軍事情報収集能力の強化を計画している。また、自衛隊は、陸海空の部隊運用に専念する「統合司令官」の新設を検討しており、「中国の積極的な海洋進出により、台湾有事の可能性が高まってきている」ことが理由とされている。
そんな中、岸田文雄首相は先日、シンガポールで開かれたIISSアジア安全保障会議(シャングリラ対話)で基調講演を行い、「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」という含みのある表現で中国を当て擦った。同会議に出席した岸信夫防衛相も中国国防部長との会談で、台湾海峡の平和と安全は日本にだけでなく、国際社会にとっても同様に重要だと強調し、中国からすれば内政問題である台湾問題を「国際問題」に定着させようとする日本の姿勢を前面に出している。
続いて、「太平洋水陸両用指揮官シンポジウム(PALS)」が先週、日本で初めて開催されたのを機に、日本は非主権国家である台湾の将校をオブザーバーとして招待した。同会議にとっては初めてのことであった。PALSとは、米国がいう「インド太平洋」内外各国の水陸両用作戦に関係する指揮官を対象にした運用技術の向上を狙いとする2015年に米国で発足させた会議である。東京で開催された今回の会議の意図について、「海洋進出を強める中国を念頭に、日米の連携を示すことで各国に結束を呼びかける狙いがある」と日本メディアも相次いで報じている。
さて、日本が台湾に関する議題を騒ぎ立てる真意はどこにあるのか。実は、その答えは最近の日本の要人の発言や公式文書からはっきりと見て取れる。それはつまり、日本が各国と共有したい「自由で開かれたインド太平洋」において、中国がその主要な仮想敵に仕立てられているということだ。これにより、防衛予算を引き上げ、防衛装備を強化する全うな理由を手に入れることができる。さらに平和憲法の「専守防衛」の原則を破って、自衛隊の軍隊への正常化という「一石多鳥」の狙いも視野に入れている。
台湾問題は中国の内政であり、中国では核心的利益に位置付けられている。日本は中日の四つの政治文書の原則とこれまでの約束を確実に守り、台湾問題で言行を慎み、挑発行為をやめ、また情勢を読み違えないよう忠告したい。参考材料として二つほど挙げたい。まずは、両岸の経済往来について。大陸と台湾双方の統計データはいずれも、大陸が台湾地区にとって最大の輸出先であり、最大の貿易黒字の源泉地の座をキープしていることを示している。2021年、両岸の貿易額が台湾の対外貿易に占める割合は33%に上り、両岸の貿易額は実に3283.4億ドルに達し、同時期の中日貿易総額の3714億ドルよりも多い。大陸と台湾は経済貿易面で盤石の関係を形成しており、このような関係の維持が、両岸の民心の向かうところである。
二つ目は、中国の祖国統一に対する不動の決意である。同じシャングリラ対話の場で、中国の魏鳳和国務委員兼国防部長は台湾問題について、「平和統一は中国人民の最大の願いであり、それに向けて最大の努力を払いたい。しかし、もし台湾を分裂させるなら、われわれは必ずや一戦をいとわず、代償を惜しまない。中国軍の決意・意志と強大な能力を見くびってはならない」と強調した。
日本メディアの報道によると、今月末にスペインで開催されるNATO首脳会議に、岸田首相は日本の首相として初めて出席する。ロシアとウクライナ情勢の悪化は、本来は域外国家である日本が招かれた背景になったと思われる。世界はなおも多くの不確定で、不透明な真っ只中にある。日本は米国が主導する中国を抑制する包囲網の構築に積極的に身を投じ、地域情勢を危険な瀬戸際に向けて追い込み続けていくのか。それとも、東アジアにある地理的立地を考慮しながら、物価高で国民の暮らしが圧迫されている国内の現実に目を向け、国家間の相互信頼を増進させ、地域の平和と安定に資することを多く行う道をとるのか。この時代からの問いに対し、理性的な日本には他に選択肢があるのだろうか。(CRI日本語論説員)