【観察眼】「同床異夢」、中身のない「インド太平洋経済枠組み」はどこまで行けるのか

2022-06-03 14:50:06  CRI

 バイデン米大統領は日本訪問期間中の5月23日、いわゆる「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の発足を表明した。その主な目的は、アジア太平洋地域で存在感を増す中国に対抗するためだ。「リバランス政策」や「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)」、「自由で開かれたインド太平洋戦略」など、実質的な進展が見られなかったり、途中で「挫折」したりした一連の措置に続き、今回のIPEF創設も、新味と実質的な内容に欠け、結局は文字通りの「枠組み」のままで終わるものと見られている。

 IPEFは経済枠組みと名付けられてはいるが、中国封じ込めのための「小サークル」作りに重点を置いており、対中戦略競争に役立てようとするもので、経済に関連する条項は空疎で内容に乏しい。

 米主導によるIPEFは一般的な経済協定と異なり、関税の引き下げに関する市場開放の条項や市場アクセス関連の内容がない。米政府は、この枠組みは議会に提出されることはなく、全面的に行政部門が主導するとしている。それはつまり、この経済枠組みはバイデン大統領が承認しさえすれば発効し、その拘束力はすべてバイデン政権の意志に依存するということだ。米国でバイデン大統領が退任した後、次の大統領がこの合意を認めるかどうかさえ未知数だ。

  アジア太平洋地域には自由貿易の推進を主な目的としたさまざまな協力のメカニズムが既に複数存在している。特に、今年正式に発足した「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」はアジア太平洋地域に経済発展の新たな弾みを付けるものとなっている。中国はすでにRCEPに正式に調印するとともに、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)にも積極的に参加しようとしている。現在の中国はより開放的になり、周辺諸国との貿易額は米国をはるかに上回っている。その一方で、米国が打ち出したIPEFには米国市場の開放条項がないため、参加国にとっては魅力に欠け、実質的な利益を全く得られないことなどからASEAN諸国は揺らいでいる。ましてや、各国が求める利益が異なることで交渉は困難を極め、有効な合意の形成にはおそらく長い時間がかかるだろう。

  マレーシアのマハティール元首相は第27回「アジアの未来」国際交流会議で、「IPEFは経済ではなく政治的な枠組みであり、地域経済の成長に大きく貢献している中国を排除し、中国に対抗することを目的としている。経済発展には衝突ではなく安定が必要で、米国が中国排除に没頭し、南海に軍艦を派遣することは不測の事態を招き、衝突や戦争につながりかねない。これはASEAN諸国の経済発展につながらず、米中衝突の激化を避け、地域の安定を維持することが必要だ」と指摘した。

 だが、「アメリカ・ファースト」にこだわるIPEFはアジア太平洋地域の経済と社会の発展には無関心で、地域の経済的なパイを大きく、強くすることには目を向けていない。外交部の汪文斌報道官は、「IPEFは協力の名の下に排他的な行動をとり、米国主導の貿易ルールを構築し、産業チェーンを再編し、アジア太平洋地域の国々が経済的に中国とデカップリングすることを企んでいる」と指摘した。ロシアの主要メディアも、「IPEFの本質は中国に対抗することで、その加盟国にとっては何の利益にもならない」と論評している。

  グローバルな経済の一体化が進む中、いかなる地域協力の枠組みであろうと、経済貿易分野で「新冷戦」を仕掛け、保護主義や「ブロック経済」への逆戻りを起こすべきではなく、自由貿易のルールに基づいて行動しなければならない。災いの種を撒き、米国の手先に甘んじる日本などの国もそろそろ目を覚ますべき時で、中国との貿易から膨大な利益を得ながら、それを損なおうとしてはならない。中国は依然として世界経済の成長を支える重要なエンジンだが、当てにしているバイデン大統領はしばらくすればもうIPEFのことをすっかり忘れてしまうかもしれないのだ。(CRI日本語部論説員)

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