北京
PM2.577
23/19
最近、世界の主要メディアによる中国に関する報道をいくつか読んだが、その客観的な視点と内容の合理性にすこぶる感動した。
ドイツの週刊誌「デア・シュピーゲル」のウェブサイトはダートマス大学の経済学教授でレーガン政権の元顧問であるダグラス・アーウィン氏へのインタビューを掲載している。アーウィン教授は現在の世界はまさに新型コロナウイルス感染症の大流行、気候変動や欧州の紛争などいくつもの危機を同時に経験しているが、中国と西側の経済は緊密に連携しており、一部の国が中国を孤立させようと意図していることは、世界全体にとって大きな災いをもたらすだろう、と述べている。
スペインの隔月刊誌「フォーリン・ポリシー」のウェブサイトに掲載された記事は、EUが地政学的に有効なプレーヤーになりたいのであれば、他者の視点から世界を見ることを学ばなければならない。人々は中国の躍進を見る時、常に衝撃と尊敬の念が入り交じった気持ちを禁じ得ない。ウクライナ危機をきっかけに、人々は紛争後の将来の世界について深く考えるようになったが、中国を注視せずして人類の未来を予測することはできない、と指摘している。
ニュージーランドのスタッフニュースネットワークは一部の国際世論が中国を敵視している原因を分析し、一部の国と中国の関係は過去50年のいかなる時期よりも物議を醸しているが、これをもって中国を一種の生存の脅威と見なすことにはいささかの根拠もない。自国が変化し、中国が変化し、国際環境もまた変化した。これらの変化を合わせ考えて、中国をさらに深く理解することが急務であり、多面的なレンズと視点を通して、この巨大で重要な国を見ることが必要だ、と述べている。
長年に渡って、一部の西側メディアは中国報道に際して「中国通」を自称し、辛辣でとっぴな言葉を常用し、事実をねじ曲げた内容で、すこぶる偏ったばかげた結論を導いているが、それは中国問題を利用して国際世論における存在感を誇示し、安っぽい拍手を得ようとしているためだ。このような記事は低レベルで退屈さを免れず、見る人が見れば軽蔑するが、大多数の状況を理解していない各国の一般人々にとっては、どこがデマゴギーで欺瞞(ぎまん)的なのか分からず、非常に有害だ。
だが、この三編の記事はこれらのメディアとは異なり、深く、冷静かつ客観的な思考によって、それぞれが意味深く、極めて重要な三つの問題を提起している。中国を孤立させることは正しいのか。中国を無視しても良いのか。一部の人が中国を敵視するのはなぜなのか。文章の表現は穏やかかつ理性的で、人驚かすような言葉はないが、核心を突いた観点で、内容には強い説得力がある。記事は、中国を孤立させることは世界にいっそう大きな災いをもたらし、中国を無視して人類の未来を予測することはできず、さまざまな変化の影響を重ね合わせて、多面的に中国を見ることが必要だと結論づけている。今日の混沌とした世界で、この三つの言葉は確かに耳をつんざき、深く考えさせられるものだ。
中日関係に焦点を当てれば、この三つの問題は同様に示唆に富んでいる。現在、日本国内では両国のウィンウィン、平和共存を望む声が少なくなり、中国を脅威ないしは仮想敵と見て、中国に対して封じ込め政策を採るよう主張する声が増している。
世界は変わりつつあり、中日両国も変わりつつあり、それにつれて日本政府の対中国政策も変わりつつある。こうした変化の中で、中国はいったい敵なのか味方なのか。中国の強大さは脅威なのか。この問題に答えようとするなら、必ず複数の視点から客観的に中国を見て、地域外の国からの否定的な影響によって自らの誤解や誤った判断を招かないようにしなければならない。その意味で、岸田政権のやり方には改善の余地があるのは明らかだ。(CRI日本語部論説員)