「家賃下げるから値上げはしないで」美容師と大家の「10元の約束」=広州

2022-04-15 15:06:13  CRI

 広東省広州市の越秀区五羊新城に、25年間営業を続けている美容室があります。繁華街にある店ですが、オーナーで美容師の韋素梅(い・そばい)さんが決めた1回のカット料金はわずか10元(約200円)です。韋さんは長年、値上げせずにこの値段でカットをしています。それには心温まる「約束」があるそうです。

 ここに店を構えて25年、手頃な価格とサービスの良さで、近所には常連客が大勢います。店舗物件の大家は今年で95歳の梁炳生(りょう・へいせい)さんです。梁さんは6年前から月額3000元(約6万円)の家賃で韋さんに物件を貸してきました。2020年にはコロナ禍で客足が遠のき、韋さんの美容院は経営が苦しくなってしまいました。すると梁さんは、「家賃を2500元(約5万円)に下げましょう。そのかわり、カット料金を値上げしないでください」と、自ら進んで言いました。

 繁華街の表通りに面するためここ数年、周辺の店舗物件の家賃はうなぎ登りです。同じ面積の店の家賃は、安くても月額4000~5000元(約8~10万円)になりました。韋さんによりますと、2020年当時は、家賃が上がったら商売は恐らく続けられないだろうと思っていたそうです。


美容師の韋素梅さんと大家の梁炳生さん

 大家の梁さんは、「韋さんの店を利用するお客さんは、ほとんどが昔からのご近所さんで、収入はあまり高くありません。韋さんの店は手ごろな値段なので、コロナ禍で店がやれなくなったら、困るのは皆さんですからね」と説明しました。

 大家の梁さんは韋さんの商売を手助けしていますが、逆に韋さんら近隣住民は、一人暮らしの梁さんの生活の様子を気にかけています。韋さんは朝7時半に開店の準備を始める際に毎日、梁さんの家の窓をノックして、梁さんが時間通りに起きているかを確認しています。韋さんは梁さんに異常がないことを確かめてやっと、安心して仕事を始められるとのことです。(ミン・イヒョウ、鈴木)

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