北京
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「激動する自動車業界における成長戦略」と題した中日共催ビジネスセミナーが8日、名古屋市内の会場と中国国内から参加するパネラーをオンラインで結んで開催されました。同セミナーは中日国交正常化が今年で50周年となる中、中国駐名古屋総領事館と野村証券が共同で主催したものです。「中国企業に聞く、カーボンニュートラルの未来に向けて」というサブタイトルの下、中国新興EVメーカーの比亜迪(BYD)と蔚来汽車(NIO)の代表らが講演を行い、対話に参加しました。
名古屋会場の様子
中国の新エネルギー車の製造・販売台数が2021年では、前の年に比べて1.6倍増え350万台に躍進したのに続き、2022年には500万台に上ると中国自動車工業協会(CAAM)は予測しています。
セミナーに出席した比亜迪(BYD)はEV大手で、車載電池の製造・外販も手がけています。同社の日本現地法人・ビーワイディージャパン株式会社の劉学亮社長によりますと、2021年現在、BYDのEV車両は6大陸、70以上の国・地域の400都市を走っていて、累計販売台数は60万3783台に上っています。この中には、日本の14都道府県に納入された電気バス64台も含まれていて、これまでに30トンのCO2削減に貢献したということです。劉氏はまた、BYDが安全な車載電池の開発を心掛けていて、今後、自社製品の日系カーメーカーへの提供にも意欲を示していることを明らかにしました。
セミナーの対話シーン
(左)野村證券株式会社エクイティリサーチ部の桾本将隆氏(右)ビーワイディージャパン株式会社・劉学亮社長
また、2014年11月に創設された蔚来汽車(NIO)は、発足わずか7年で、50か国出身の従業員2万人を抱えるグローバル企業に成長しています。2018年に納車を開始してから2022年第1四半期までに、19万2838台を引き渡し、累計走行距離は4億キロに達しています。同社の郭少華グローバル業務担当によりますと、NIOは世界初の「グローバルユーザー企業」を目指して、2025年までにサービスを25以上の国・地域に拡大していく目標を掲げています。
中国におけるEV市場の拡大について、BYD社の劉学亮氏は「電気バスやタクシー、そしてアウトドアの用途が拡大しており、去年、約88%のEVは一般消費者に買われた。中国のEV市場は政策主導の段階からマーケット主導の段階に入っている」という見方を示しました。
野村證券株式会社エクイティリサーチ部の桾本将隆氏は席上、資源高、ガソリン高が自動車産業に与える影響について分析し、中国は「世界最大の自動車市場、かつ世界最大のEV市場」として、今後も伸び続ける環境にあるという見通しを示しました。そのうえで、日系自動車メーカーは2013年以降、中国でシェアを伸ばしてきたものの、「現地で良く売れるリン酸鉄リチウム(LFP)電池を搭載したEVセグメントでは、あまり対応できておらず、プレゼンスがない」と問題点を指摘し、「今後は、現地の電池メーカーと提携しながら、挽回できるかが重要なポイントになる」と示唆しました。
中国駐名古屋総領事館の劉暁軍総領事
今回の共同企画に込めた思いについて、主催者代表の中国駐名古屋総領事館の劉暁軍総領事は「世界は激動の時期に入ったが、互恵ウインウインという中日関係の土台は変わっていない」と強調し、セミナーを通して、「両国の電気自動車産業の実務協力と共同成長を推進していきたい」と述べました。
(取材・記事:王小燕、校正:CK)