北京
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まず、日本映画『ドライブ・マイ・カー』が第94回アカデミー賞の国際長編映画賞を受賞したことに祝意を示したい。まだ中国では上映されないものの、予告動画を見て、ロケ地・広島の美しい風景に惚れる中国人は多い。
広島と言えば、世界で初めて被爆した都市として、中国でも知らない人は少ない。ちょうど数日前、この都市は国際メディアの注目を集めた。岸田文雄首相は3月26日、エマニュエル駐日米大使とともに被爆地・広島市の平和記念公園を訪れ、ロシアの核使用に「絶対にあってはならぬ」と警告した。
広島市出身の日本首相が、米国大使を招いて、広島の被爆地を訪れ、ロシアの核使用に「許さぬ」と訴えたのだ。中国人の筆者として、この思惑はどうしても理解し難い。プーチン露大統領も「日本は誰が原爆投下したかを言わず、真実を無視している」と反論を繰り広げた。プーチン氏のコメントはすぐ日本側からの批判を招き、「(このような発言は)我が国が未だ真の独立国ではない衝撃的な事実を公然と暴露した」と、一部日本人ネットユーザーからの不満が殺到した。
ネット上の議論はともあれ、日本政府にとっては、駐日米大使の広島訪問は日米同盟関係の証であり、米国に原爆投下された悲しい想いがあっても、腹を割って米国に忠誠を尽くす決心を見せたいのだろう。
ちょうどその前日(3月25日)の参院本会議で、2022年度から5年間の在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)を増額させる新たな特別協定が与党などの賛成多数で可決された。総額1兆円超、前期比750億円増、しかも米軍の施設整備には5年間で最大1641億円を投じるとのこと。
東京五輪2020組織委員会が昨年12月に公表したデータによると、2020東京五輪・パラで60社余りの日系企業の6年契約のスポンサー契約総額は30億ドル(約3300億円相当)で、日本政府の在日米軍への「スポンサー料」の3分の1を下回る。
バブル崩壊後の日本は「失われた30年」を経験した。不景気や少子高齢化が続き、年金問題に悩まされるなど……これまでよく耳にした日本ニュースはフェイクニュースなのか。昨日の日本テレビの報道によると、ロシアとウクライナ情勢の影響を受け、日本国内で、サケやマス、カニなどロシア産水産物の輸入が滞り、品不足で価格が高騰し、市民の懸念が高まり、一部回転すし屋が経営難に陥っていることが分かった。日本経済の景気状況と日本政府が在日米軍に対して行う豪奢な振る舞いは、どうも帳尻が合わないようだ。この支出はいったい、誰が負担するのか。
米国のために、日本政府はお金を惜しまないどころか、かなりの包容力を持っているようだ。林芳正外相は3月29日の記者会見で、在日米軍基地の外での米軍機の訓練に関して、実弾射撃を伴わなければ容認するとした日本政府の立場を明らかにした。
一方、「琉球新報」によると、29日午後、普天間米軍基地から離陸した2機の米軍ヘリコプターが機体故障により石垣空港に着陸したため、同時間帯に離陸予定のANAの航空便はやむを得ず飛行を遅らせることになった。このような「アメリカ・ファースト」はこれからも日本でしばしば発生するだろう。
さらに、林外相は3月18日の記者会見で、在日米軍の基地内でのマスク義務を解除したと発表。これは米国防総省や米疾病対策センター(CDC)の指針を踏まえた措置だと明らかにした。
在日米軍基地は日本領土なのか、それとも米国領土で治外法権があるのか。正直、筆者には分からない。ただ残念なことに、NHKの報道では、新型コロナウイルスの第6波で、大阪府内では高齢者・障害者施設で療養中に亡くなった人が23日までに57人に上ることが府の集計で分かった。感染拡大で病床が逼迫する中、クラスター(感染集団)が多発した高齢者施設では、入院など積極的な治療ができず、施設内での看取りになるケースが相次いだためとみられる。
コロナ禍が人々の健康と生命の安全にもたらす脅威を顧みず、ウイルスとの共存を称える米国は在日米軍のマスク解除という特権を求めながら、同盟国にロシア制裁を強要し、犬も猫も制裁リストに盛り込んだ。もっと驚いたことに、米ニュースサイト「Business Insider」によると、米ユタ州にある米軍実験室「Dugway Proving Ground(DPG)」では、2004年から2015年の間に、不活化処置を済ませていない生きた炭疽菌(たんそきん)86サンプルを韓国、日本、英国など9カ国に郵送していたのだ。聞くだけで恐ろしい。これだけ独断で悪辣な「友」に追随すれば、何処まで落ちることになるだろう。(CRI日本語部論説員)