梅田記者と全人代を追う(4):今年注目すべき点は!

2020-05-27 13:59  CRI

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▲2020年の全国人民代表大会および政治協商会議特集ページはこちらから

 CRI日本語部の梅田謙がCRIのニュース記事などを追いかけながら全人代をより深く知るためのお手伝いをする当コーナー。今回は今年注目すべき点をご紹介します。

 前々回の記事では、過去2回の全人代の注目点を振り返りました。3000人近くの代表たちが北京に集い、1週間以上をかけて行う会議ですから、審議の内容は膨大です。その中で注目すべき点を知ることが、全人代をより深く知るための第一歩になります。

1.「貧困からの脱却」に注目!「十三五」と「二つの百年」もキーワードに

 中国には政策の方針や目標を定める「五カ年計画」が導入されていて、2020年は「第13次五カ年計画」(通称“十三五”」)の最終年に当たる重要な年です。その内容は経済発展や民生、環境保護まで多岐に至ります。

 また、同じく国家の目標である「二つの百年」の奮闘目標(中国共産党成立100年目の2021年までに「小康社会」を築き上げ、新中国成立100年目の2049年までに強く豊かで民主的・文明的な調和のとれた社会主義現代化国家を築き上げるという2つの目標)のうち、「最初の100年」、つまり「小康社会(いくらかゆとりのある社会)」の全面実現への成果固めをする最後の年でもあります。ゆとりある社会の実現と経済的余裕とは切って離せない関係にあるため、特に貧困脱却の取り組みに関する状況に目標が集まっています。

 なお、これらについては22日に行われた李克強総理による「政府活動報告」でも言及されました。

 参考記事1:<全人代>李克強総理による政府活動報告抜粋(2020.5.22)

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▲第13期全人代第3回会議初日に政府活動報告を行う李克強総理(写真提供:新華社)

2.「民法典」に注目!

 今年最大の注目と言えるのが、新中国初の「法典」と名のつく法律「民法典」の草案の審議です。中国では1978年に改革開放が始まって以降、婚姻法、相続法、養子法、契約法といった民事に関する一連の法律が個別に制定されており、それを統合する民法典への編纂が歴史上何度も求められてきました。その足がかりとなったのが1986年に採択(1987年から施行)された「民法通則」で、さらにこれが統一的な「民法典」編纂の第一段階の作業として2017年に「民法総則」へと見直されました。

 そして今回、その総則を内包する「民法典」の草案が審議にかけられ、可決されれば施行されることになります。中国の民法整備の歴史上には、日本との交流を通して参考にされた点もあるため、隣国の法整備面での大きな成果は、日本人としても注目すべき点と言えるでしょう。

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▲民法典草案のハイライトを紹介するイラスト(提供:新華社)

 参考記事2:<全人代・政協>内容豊富な民法典草案を読み解く5つのポイント(2020.5.24)

 参考記事3:【CRI時評】民法典がより高い質の「中国の治」を推し進める(2020.5.25)

3.「感染症対策」と「国際協力」に注目!

 前述の2点は前々から注目されていた事柄で、同様に中心的な話題になるだろうとされていたのが、「香港情勢」や「対米関係」などでした。ところが、去年の終わり頃から、新型コロナウイルスの発生により世界情勢が一変したことは皆さんもご存知の通りです。

 中国と日本との間だけを見ても、武漢を中心とする感染拡大の初期には日本からマスクなどの寄贈物資が中国各地に届けられ、やがて日本での感染被害が広がると、今度は中国から「投桃報李(桃を贈られれば、返礼としてスモモを贈る)」とばかりに大量の物資が日本へと贈られました。このような「善意の連鎖」は中国と多数の国々との間で発生しました。

 感染が収束しつつある中国が、特に貧困地区などでどのように感染対策を進めていくのか。そして、他国とどう協力していくのかが、一つの焦点になるでしょう。習近平国家主席をはじめとするリーダーたちの言葉の中の「人類運命共同体」という言葉は今年もカギになると、筆者は見ています。

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▲外交部の華春瑩報道官による日本語ツイートも話題になった

 参考記事4:【観察眼】「善意の連鎖」こそ新型コロナと戦う力 それは今、中日の間に(2020.2.27)

 参考記事5:中国の医療援助物資 アフリカに到着 アフリカ各国が歓迎(2020.4.19)

4.CRI日本語部の報道に注目!

 そしてもちろん、私たちCRI日本語部による取材と報道にもご注目ください!

 全人代担当記者である斉鵬(さい・ほう)アナは、特に「医療・衛生」と「貧困撲滅」をテーマにしながら取材を行っていて、すでに福建省、貴州省、重慶市、広西チワン族自治区、甘粛省の計5名の代表(および政協委員)にインタビューしました。なお、梅田記者と全人代を追う(1):“ついに”開幕!変更点は?でも紹介した通り、インタビューはすべてオンラインで行われました。5本のインタビューの内容は以下のリンクからご覧ください。

・<全人代>非感染性疾患の予防も重視すべき=全人代代表 翁国星氏(2020.5.22)

・<全人代>貧困脱却成果の維持に教育が最重要=曽麗代表(2020.5.23)

・<政協>公衆衛生システムに感染症科の組み入れを=任紅委員(2020.5.23)

・<全人代>末端医療機関の感染症対応能力の強化を=甘楚林代表(2020.5.25)

・<全人代>ECは貧困扶助の良い手段=梁倩娟代表(2020.5.25)

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▲インタビューに応えてくださった代表・委員の皆さん(左上から記事掲載順、右下が斉鵬アナ)

 また、時節柄注目を浴びている医療の面では、「AちゃんのChinaNow:全人代代表に聞く 中医薬を活用して新型肺炎に対抗」もご覧になってみてください。

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▲全人代代表の一人である重慶市中医院の李延萍副院長に、CRI日本語部アナウンサーのAちゃんが、オンラインインタビューを実施。ぜひ動画でご覧ください。

さて、全人代をより深く知るためには、過去を振り返ることも大切です!

 私も取材記者として関わった2019年の特集ページには、他にも沢山のニュースや映像が残っています。しっかり予習しながら、今年の注目点を一緒に追いかけましょう。(梅田 謙)

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▲2019年の全人代・政協特集ページはこちらから

梅田が去年担当した「CRI記者 現場からのリポート」もぜひご覧ください!

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