4月から日本語放送はガラっと変わります。この1年間余おつきあいいただいた「古典エナジー」も、今回が最終回になります。皆さんと一緒にこの番組をもう一度振り返りましょう。
番組を立ち上げたきっかけ
(周莉)この番組を担当する前に、今高橋さんと国清さんたちが担当している「中日交流カフェ」をやっていました。リスナーの皆さんのお便りやメールなどに身近に接している中で、「中国の古典を紹介する番組を作ってほしい」というリクエストのお便りを読んだことがきっかけだったのかもしれません。
それに私自身も小さい時から、古典が大好きだったというのも理由の一つです。父親の影響で、小学校5年生のごろから、古典を読み始めました。初めて詠んだ書物は、怪奇小説「聊斎志異」でした。当時、うちのテレビはまだ白黒だったので、テレビを見るより、古典の本の世界の方が想像を掻き立てよっぽど豊かで、色々思いを馳せられるので古典が好きになった一番大きな理由なのかもしれません。
よく接する古典
(周莉)中国五千年、日本ではなぜか中国四千年とよく言われるようですが、いずれにしても、長い文明を持つ中国では、一言で古典といっても、本当に奥深いものです。まず、ジャンルで言いますと、詩歌、散文、小説、歴史書、戯曲などがあります。また、時代別で言いますと、中国では戦国時代までの文学、秦の始皇帝の秦、そして、劉邦が樹立した漢、秦・漢文学、三国時代の後の分裂期間、魏・晋・南北朝時代の文学、隋・唐文学、宋代文学、蒙古族が統治していた元の時代の文学、それから、明・清文学などに分けられます。
(高橋)それぞれの時代に異なる特徴があると思いますが、例えば、唐の時代、漢詩が特に栄えましたね。今、小・中学校の教科書によく取り上げられるのは、主にどんなものですか?
(周莉)リズムのいい詩や散文が多いです。教科書に入っているものはもちろん、夏休みや冬休みなどには推薦の読本もありますよ。
(高橋)中国では以前と比べて今、ちょっとした古典ブームのようですね。
(周莉)そうですね。英語など外国語ばっかり勉強するより、自国の文化がどれほどすばらしいかと見直したいということですね。中国の子供は少ししゃべれるようになると、すぐに詩を暗記させられます。「三字経」とか「唐詩300」などは良く使われる子供の啓蒙読本となっています。日本では、古典の勉強って、どんな感じですか?
(高橋)高校時代に、国語の科目が現代国語、古典、漢文に分かれていて学習した記憶があります。小さい頃は、古典と言えるかどうかわかりませんけど、中国の孫悟空の話しや杜子春と読みましたけど、ほとんど自国の古典文学に触れることって、ないような気がします。
最も印象深かった内容
この1年間あまりの放送で、西遊記、老子、孔子、荀子、叙事詩、女性作家、歴史書「春秋」「史記」、曹操、八仙人、数字を含む四字熟語などなど、いろいろ取り上げました。その中で一番印象深かった内容は?
(高橋)一番って、決めにくいんですけど、例えば西遊記の登場人物のキャラクターや曹操が詩人だったとか、李白と孟浩然が知り合いだったとか、孔子の弟子の話とか、自分が知っている中国の古典でも、知らないことや新発見がたくさんあって、中国の古典の奥の深さを感じました。
(周莉)私も実はこの番組をやるために、いろいろ資料を調べなければなりませんでしたので、中国の古典文学や歴史を再び勉強しました。特に、小さいころ、少女にとって、どうしても理解しにかった英雄物語などは、時間があれば改めて読みたいなあなんて思います。ですから、曹操の話や項羽の話などが、これまで取り上げたテーマの中で一番印象深かったです。
(高橋)日本でもそうなんですが、男性は「三国志」などの戦争物語に興味を示していますが、女性はやはり柔らかいもの、説話とか恋物語、詩に興味を持っています。
(周莉)そうですね。そして、小さいころ本を読むときの重視点や感想は、大人になってからとだいぶ違いますね。小さい時に、故事そのもの、表のものに心を取られましたが、大人になったら、何故その人がそんなことをしたのか、より深層的なものを掘り下げたいと思いますね。
やりきれなかったこと
(周莉)秦・漢以前の文化については、孔子や老子などほんの少しだけご紹介しましたが、中国の春秋・戦国時代は、本当に百家争鳴の時代であり、孟子や荘子、韓非子などなど、紹介したいものもあります。また、「三国志演義」をはじめ、「紅楼夢」や「西遊記」、「水滸伝」など、代表的な小説をなんらかの形で紹介したいです。
お詫びと感謝
リスナーの方に掲示板で指摘していただいたことです。番組のテーマ曲に使った『論語』の言葉、"有朋自远方来,不亦乐乎?"「友あり遠方より来る。また楽しからずや」の発音です。「楽しい」という意味なので、Leと発音すべきなんですが、スタッフはYueと発音しました。恥ずかしいですが、私もずっと気付かなかったんです。それは、その前の文、「学んで時に之を習ふ。亦説ばしからずや。」"学而时习之,不亦说乎?"は、Yueだったからです。中国人でもよく間違えるところです。
孔子のこの文、非常に楽観的な生き方を教えてくれていますね。勉強でも、友達とのお付き合いでも、いつでも積極的な態度で接します。これらは人生にとって、いずれも楽しいことです。この文を皆さんとシェアしたいと思います。"学而时习之,不亦说乎?有朋自远方来,不亦乐乎?" 「学んで時に之を習ふ。亦説ばしからずや。友あり遠方より来る。また楽しからずや」。
2年間ほど、「古典エナジー」を、ずっと応援していただいたリスナーの皆様に、改めてお礼を申し上げます。おつき会い、どうもありがとうございました。
| ||||
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |