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石になった牛

2012-04-18 21:57:29     cri    

 「金の牛」(金牛湖)

 そのむかし、かの西湖は金の牛の湖とかいて「金牛湖」とよんだそうな。

 当時、この湖の水は多く、その周りはとても肥えた土地で、ここの百姓たちはこの水で田畑を潤し、多くの作物を得ていた。そして暇なときにはみんながこの湖で魚やえびを獲り、人々は仲良く暮らし、それは穏やかな日々を送っていた。

 さて、この湖の底に、一頭の牛が棲んでいると年寄りたちはいう。実に自分たちは、若いときのある年に、湖の水が少なくなったので、金色に光る牛が姿を現し、頭をもたげ、二本の角を振り回し、その口から多くの水を噴出して、湖の水をまたいっぱいにしたのを見たという。

 と、ある年の夏は6月から8月末まで雨が降らず、湖の水はかなり少なくなり、周りの田畑の土も固くなり、作物も枯れ始めたが、かの牛はどうしたことか顔をなかなか出さない。そこで民百姓たちは、年寄りの話を信じ、湖のほとりに牛の好みそうな餌を供え、毎日のように早く出てい、早く出てくれと拝んだ。

 こうして数日たった日の朝、みんながいつものように湖のほとりで牛の出るのを待ち望んでいると、不意に「モー!」という大き鳴き声とともにかの金の牛が底から姿を見せ、首を振った後、口から水を噴出したので、ほとりではこれに大喜び。しばらくして湖の水はまたいっぱいになった。みんなはこれを見て涙を流していると、牛はまたも「モー!」とないて、底に姿を消していった。

 さて、当時の浙江一帯の長官は、数日後にこのことを耳にした。この長官は、今の位に満足せず、いつかは都に入り、高い位につこうと願っていたのだ。

 そこでこの話を下のものから聞いて大喜び。

「なんとその湖にそんな牛が棲んでおったのか。それに金の牛というではないか。ははは!いっそのことその牛を捕まえ、都の皇帝さまに差し上げれば、わしも必ず出世できるというもの」

 こう思った長官は、部下たちを湖のある県に遣り、地元の県令に手伝わせ、かの牛を捕らえさせようとした。こうして部下がその県に行き、このことを話すと県令は驚いたが、長官の命令とあれば、どうしようもない。逆らったりすると県令を辞めさせられるどころか、口実を設けてひどい目に合わされるかもしれないのだ。というのはこの長官、これまで幾人もの自分に逆らった下のものを消していると聞いているのだ。こうして県令は長官の部下とともに何本もの縄を持って湖のほとりに来たが、どうやって底に棲むという牛を捕まえるのかわからない。そこで近くに住む人に聞く。これに人々はびっくりしたが、相手が長官の命令できた役人と地元の県令なので、ただ、知らないと答えるだけ。これに長官の部下は苛立ち、そのまま長官の屋敷に帰り、このことを長官にいう。これに長官は不機嫌になる。

 「なんじゃと?牛のことははっきり知らず、捕まえることはできないだと?!ふん!そうじゃな。ではこうしよう」と長官は部下に何事かいいつけ、部下は翌日また湖のある県に向かい、長官の命令を伝えると、県令は顔をひきつけ黙っていたが、長官の部下に睨まれたので仕方なく一緒に湖に向かった。そしてほとりに住むすべての人々を集めた。そこで長官の部下がいう。

 「皆の衆!いいか、次に長官さまの命令を伝える・・」

 この命令を聞き、人々は驚きおののいた。それは次のようなものである。

 この湖に水を噴出す金の牛が棲んでいると聞き、皇帝が是非この牛を見てみたいと言い出したこと。そのため、湖のほとりに住むものは、この牛を捕らえるのを手伝うこと。そしてこれに逆らうものは死罪とすること・・

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