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「王冠の真珠」

2011-09-29 09:53:50     cri    

 さて、夜になったが、庭は静まり返ったまま。やがて夜半になると小池から何かな飛び上がる音がしたので、明かりを持って庭に出てみると、大きな皿に牛の鼻のようなものが乗っている。それは動いているので和尚さまはにやっと笑い、剣をかざしてひそかにそのものに近づき、「やー!」と一突き。するとその牛の鼻のようなものは、飛び上がって血を流しながら逃げ出した。そこで和尚さまは屋敷のものに多くの明かりを持たせ、そのあとを追ってゆき、裏庭の隅のところで黒い袋のようなものが落ちているのを見つけた。それにはまだ息があるので、和尚さまは「これがかの黒男じゃ」と言い、藁(わら)を持ってこさせ、それにかけると火をつけた。こうして「黒男」は焼け始め、くさい匂いを放ち、とうとう灰になってしまった。すると上の娘が正気を取り戻し、病はよくなったという。

 ところで、下の娘だが、これまでとは変わりはない。そこで和尚さまは屋敷に住み続けた。こうして四日たった夜にまたも庭の小池から何かが飛び跳ねた音が聞こえる。そこで和尚さまは下の娘の前で念仏となえると、娘は大声で泣き始めた。和尚さまがよく見ると娘の上着の腕のところに黄色い物入れがあるので、娘を静かにさせ、その物入れの中をみると、小さな笛と葬式のときに使う布が入っていた。そこでこれらを同じように焼かせたが、娘の病は治らなかった。それに娘の腕にはデキモノが見られ、それが痛むのか娘は泣いてばかり。

 これに和尚さまは考え込んだあと姚司馬にいう。

 「今はどうにもまりませんな。治す薬がありません。どうです。一ヵ月後に都に薬を取りに来てくだされや」

 「はい、一ヵ月後ですね」ということになり、和尚さまは都に帰っていった。こうして一ヶ月後に姚司馬は都に向かい、仕事を終えた後に和尚さまを訪ね、薬をもらって邠(ひん)州に帰ってきた。そして早速その薬を下の娘に腕に塗ったところ、できものは三日間でなくなり、娘も元気を取り戻した。

 で、姚司馬は、化け物はいずれも庭の小池から出てきたことを思い出し、それが小川で釣ってきたおかしなものだったということに気づき、これは危ないと一家は小川から遠いところに引越した。また、二人の娘もそのときから釣りで遊ぶのはやめたという。へえー?

 そろそろ時間のようです。来週またお会いいたしましょう。


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