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「王冠の真珠」

2011-09-29 09:53:50     cri    

 「小川から釣れたもの」

 姚司馬が邠(ひん)州に住んでいたとき、屋敷の近くに小川が流れていた。姚司馬には二人の娘がいて、よくその小川で釣りをして遊んでいた。しかし、その日まで、一匹の魚も釣れなかったが、娘たちはあせりもせず楽しく遊んでいた。つまり、その日、どうしたことか、どちらにも始めて引きが来たので娘たちは驚き喜び、竿を必死で上げてみると、なんとそれぞれ変なものが釣れた。それは川うなぎのようだが毛が生えており、亀みたいだが鰓がある。

 「なによこれ?」

 「知らないわ」と二人の娘は、それを何とか籠にいれ屋敷に持ち帰ったところ、父と母は面白いと庭の小池に放し飼いにすることにした。

 そして次の日の朝。どうしたことか、目を覚ましたばかりの二人の娘は、気が触れたのか、わけのわからないことを口にしながらふらふらして歩き出す。また夜は二人とも眠らず、いずれも笑ってろうそくに火をつけ遊びだし、そのうちにお化粧するのだと言い出し、自分の顔をめちゃめちゃに塗ったりした。これに父の姚司馬があわてて医者を呼んだが、どの医者も手の施しようがないと首を傾げるだけ。

 そしてその翌日、下女が娘の部屋の明かりをつけると、なんと明かりの中からにゅっと小さな二つの手が伸び出てきて「金をくれ!」とおかしな声でいう。そこに下男が来て怖いながらも棒を持って化け物を追い出そうとした。が、なんとその二本の手は「私はこの家の娘婿だぞ!無礼者が」と叱った。そして一本の手は「私は黒男」と名乗り、もう一本の手は「こちらは黄色男だ」と名乗った。

 ところで当時、楊元卿が邠(ひん)州で長官をしており、彼は姚司馬の旧友だったことから、姚司馬はその下である役につかせてもらっていた。姚司馬は娘たちのことを悩み、これはもう楊元卿に助けを求めるしかないと思ったので、翌朝早くから楊元卿を訪ね、ことのいきさつを話した。

 この楊元卿には友達や知人が多く、真剣にことを考えた彼は、早速、化け物退治ができるという都の和尚さまに手伝ってもらおうという。こうしてこの和尚さまがその次の日に姚司馬の屋敷にやってきて、事情をもう一度聞き二人の娘の様子をみて考えていた。やがて和尚さまは「そうじゃな」というと、赤い縄と剣を取り出し念仏を唱えた後、赤い縄に酒をかけさせ、庭に準備した卓の上にこの縄と大きな皿を並べさせた。

 「あとは夜になるのを待つだけじゃ」と和尚さまはいうと応接間で黙って座った。これに姚司馬と妻、それに屋敷のものは仕方なく静かに夜を待った。

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