2010年1月1日 江蘇人民出版社
★著者紹介
周国平:1945年、上海生まれ。1967年、北京大学哲学科卒業。1981年、中国社会科学院哲学修士課程修了後、同科学院哲学研究所研究員となり現在に至る。学術専門書やエッセー、訳書など数多くの著書を持つ。
★本書紹介
著者が40代の時、初めて授かった娘は僅か1年半の命という短い生涯を閉じた。父親になった当時の心境や人生への悟りなどを『妞妞』(娘の名前)に綴り、多くの親達を感動させた。その後50代で今の娘を授かる。本書は7歳の愛嬢の小学校入学までの記録であり、哲学の視点からの命への賛歌でもある。
★本の一節
・ ママがまだ子供だった頃、いつかパパと出会うってことを知らなかったね。パパもそうだったね。ある日、ママがパパに巡り会って、「あら、ジュジュのパパじゃないの?」と聞いて、パパも「あ、ジュジュのママじゃないか」と言って、そうやって2人は出会ったんだね。(娘ジュジュの名言から)
・ 子供が小さかった頃、私たち夫婦は子供をお風呂に入れたり、ご飯を食べさせたり、オムツを換えたり、日光浴に連れて行ったりする毎日を送っていた。これは要するに動物の親が子供の面倒を見るのとなんら変わらない自然の摂理だ。赤ん坊は自然なままの1つの小さな命に過ぎないのだから、私たちも人間というただの命有る生き物に回帰しなければならなかった。
しかし、私たちはどれほど喜んでただの生物に回帰しただろうか。この原始的な動物になった状態の中に、どれだけ単純な喜びと充実感が溢れていただろう。単純な哲学と真理すら見えたものだ。
現代人にとって、純粋な動物の状態に回帰することは、貴重な幸せを味わえるばかりでなく、霊的に浄化されることでもある。今多くの人は、信仰を持たず天の神から離れ、本能の衰退により、大地の自然からも遠く離れている。これでは、宙に浮いているような状態の中、世俗の社会で利益を求めるだけの複雑かつ虚しい一生を送ることになる。しかし、この小さな命の誕生は、天地の道理からみても、私たちを純粋かつ真実の生活に導いてくれる。
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