中国では「相声」と呼ばれる伝統芸能・・・これは日本の漫才とほぼ同じものです。「相」は「表情」、「声」は「語り」。この、表情と声の芸術を「相声」の二文字で説明しているのです。
いまでこそ、テレビ、映画、そして音楽などさまざまな娯楽の手段がありますが、昔はそうではなく、この「相声」を生で聞くことは市民の大切な娯楽でした。特に北京のお隣、天津では「相声」が非常に好まれました。町の茶店にいけば、伝統の衣装を着た漫才師が演芸を行い、それに合わせてお客さんが笑ったり拍手したりするというのはよく見かける風景だったのです。
ちなみに、茶店で行う場合、漫才師は、伝統の衣装、つまり上と下が一緒になった布製の、着物のような長い衣装を着るのが一般的です。一方、テレビに出るときは、そういった伝統の衣装もあれば、スーツを着て演じる人も多いようです。
ところで、京劇など中国の伝統芸能は、80、90年代に入ってから、テレビや映画などの影響によって人気が低迷するということが多くありました。しかし、この漫才に関しては、そういった時期も特になかったようです。それどころか、老若男女、あらゆる年齢層が楽しめる娯楽として、今も発展しています。
これについて、7歳から漫才を学び、50年以上にわたって漫才を演じてきた陳さんは、次のように話します。
「私がデビューしたころ、いつも劇場に来て漫才を聞いてくれるお客さんは5、60代の人が多かったのですが、いまは若者が増えています。とくに、劇場とけっこう離れたところにある大学の学生も毎週、劇場に通ってくれるようになりました。彼らは、漫才を映画やポップス音楽と並ぶ、一つの趣味にしてくれているようです。本当に嬉しいです。彼らが漫才に生命力を吹き込んでくれていると思います」
こうした生命力があるからこそ、漫才は、いつまでも人々に喜ばれ、好まれるのでしょう。(翻訳:鵬)
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