5月1日から7日までのゴールデンウィークが、あっという間に過ぎてしまいました。一週間があるというのに、週末の振替休日が加えられるので、実は三日間だけです。中国では10月の国慶節と2月ごろの旧正月も5月と同じように、一週間の大型連休がありますが、それらもまったく同じ形です。それから、元旦の一日を含めて、中国の全国民一般の休日は、わずか、10日間しかありません。欧米などの事情はよく分かりませんが、隣の国、日本の国民的祝祭日は確かに中国より多い気がします。
私は、日本の手帳を使ってますので、カレンダーに赤字で表記されている日本の祝祭日を数えたことがあります。その結果は、14日。確かに、中国より多いんです。日本では、ゴールデンウィークが一回しかありませんが、普段の休みが多くて、三日間連休になることもあり、ゆっくりできるような気がします。
祝日といえば、中国にもたくさんあります。元旦や、メーデー、国慶節、国際婦人デー、児童節などは、近代的なものですが、そのほか、春節、元宵節、清明節、中秋節、などなど、伝統的なものも多いです。
今、一年の国民的休日のうち、メーデーと国慶節と元旦の7日は、すべて、近代的なものです。春節のほか、ほとんどの伝統的な祝日は、休みに入っていないため、やむを得ず、平日と同じように過ごしてしまい、結局、どんどん忘れられつつあるという気がしてやみません。
中国の伝統的な祝日は、漢民族の農耕生活に由来するものが多くて、自然に親しむことはその大きなテーマです。しかし、近代的な都市文明というのは、だんだん伝統的ものを遠ざかっている感じがします。
一方、中国の広大な農村部では、伝統的な祝日を大いに祝う風習がまだ残っています。肝心な問題は、これからの子供たち、そして、都市生活に追われている大人たちに、祖先から伝わってきたものを大事にしなければいけないと、意識を喚起することだと思います。
中国ではこれについて、最近、いろいろな動きがあります。他の国が、端午の節句を世界非物質文化遺産への登録を押し進めることで、もともと中国から生まれた祝日を、よその国に先取りされてしまうのではないかといううわさ。今年の全国人民代表大会では、現在の休日システムを改め、伝統的なものを国民的休日に収めようとの提案もありました。
そして、今の5月と10月の二つのゴールデンウィークという体制も、1999年に実施されてから、国民的な消費を刺激する面で、大きな役割を果たしましたが、度を過ぎている気もします。休みの直前の殺人的な忙しさ、休み中の人ごみの中で盲目的な消費、そして、休みの後のくたびれ、もう、限界だと思います。
さて、今回は、中国の漢民族の主な伝統的祝日をご紹介しましょう。まずは、一年のスタート告げるのは、もちろん、春節です。
春節は中国の祝日の基本中の基本といえます。一年で一番大きな祝日です。春節を迎えるため、家の中をはじめ、いたるところをきれいに掃除し、門や窓には、春れんや切り紙を張ります。大晦日の夜に、一家団欒で、魚や鳥など縁起のいい食べ物を含む料理を食べて、トランプやマージャンで遊んだり、テレビを楽しんだりして、夜明けを待ちます。そして、旧暦の一日の朝、爆竹を鳴らし、一緒に餃子を食べて、子供たちにお年玉をあげ、年始回りをします。
春節を二週間ほど祝って、いよいよ春節行事の終わりとなるのが旧暦1月15日の元宵節です。これは、春節後の最初の満月の夜で、一家団欒を象徴するもち米で作った団子(元宵)を食べたり、提灯を飾ったりして祝います。
そして、清明節。これは先祖の墓参をする日です。掃墓節の名があり、祖先を敬い祭る行事が中国各地で行われます。古来より、春を迎え、家族で郊外に散策に行く習慣もあり、「踏青」とも呼ばれています。
続いて、旧暦5月5日の端午の節句です。戦国時代の「楚」の愛国詩人・屈原が汨羅(べきら)という川に身を投じた日とされます。屈原を慕う人々が多くの船を出して遺体を捜したという言い伝えが、現在のドラゴンボートレースの由来だとされています。また、屈原の遺体が魚に食べられないように、川にちまきをまいたことから、この日にちまきを食べる習慣があります。
秋になると、旧暦8月15日は、中秋節です。名月を観賞する日であり、この日に月餅を食べる習慣があることから、月餅を贈りあう習慣があります。ここ数年は豪華な月餅の贈答がエスカレートし、社会的な問題にもなっています。ちなみに、私も毎年、月餅のもらいすぎで、その甘いものを朝食として食べたこともあります。
続いての祝日は、旧暦9月9日の重陽節です。9は陰陽の概念で、最も大きい陽の数です。陽が2つ重なるとして「重陽」といいます。この日は古くから山に登って菊花酒を飲む習慣があります。
次の春節を迎える前の旧暦12月8日は、蝋八節です。旧暦の12月は蝋月といい、8日ですから、蝋八となったのでしょう。これは仏教に基づく祭日で、釈迦が12月8日に悟りを開いたことにちなむとのことです。釈迦が最後の悟りを開く瞑想に入る前に、乳粥を食べて体力を回復したという故事から、「臘八粥」という8種の穀物で作った粥を食べる習慣があります。
以上、中国の主な伝統的祝日の由来とその祝い方について簡単にご紹介しました。このほか、中国には、少数民族の独特な祝祭日や、教師節やメーデー、国慶節など、新暦で祝うもののほか、バレンタインデーとか、クリスマスなど西洋から伝わってきたものもあります。伝統的な祝日が次第に色あせていく中、バレンタインデー、クリスマスなどの商戦に踊らせられた若者が増えていくのが、なんだか悲しい現状です。
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