今晩は、ご機嫌いかがでしょうか?林涛です。
この時間は、清の時代の怪異小説集「聊斎志異」から「胡家の人々」というお話をご紹介したしましょう。
では参りましょう。「胡家の人々」です。
「胡家の人々」
太原の耿家は立派な屋敷に住んでいた。しかし、そのうちに屋敷でおかしなことが起こり始めた。それは、門が勝手に開いたり、誰もいない部屋で声がしたりするので、屋敷のものはびっくり仰天。怖くなって家族はほかのところに引越し、門番として一人の年寄りの下男を残した。こうしてこの屋敷には誰も来なくなり、庭は雑草が茂り、部屋の中は埃とくもの巣だらけになってしまった。
さて、この耿家の長男は耿去病という若者で、長旅に出た後帰ってきて屋敷に変なことが起きるので家族が引っ越したことに驚いた。どうも納得がいかない。そこでどんなことが起きたのか見てみたいと、ある日、去病は一人で下男だけが門番する屋敷に来た。
これに下男の爺さんは坊ちゃまが来たというのであわてて出迎えた。
「これはこれは、去病坊ちゃま、どうしてここに?」
「おお、爺さん、一人でご苦労さんだな。旅から帰ると屋敷で変なことがおきるので引っ越したという。どうも気に食わないので、この目で確かめに来たんだよ」
「ええ?ということは?」
「数日、泊まろうと思ってね」
「それはいけません。実はわしは玄関の横の小さな部屋に泊まり住んでおりますが、夜中に屋敷の中から変な笑い声や泣き声が聞こえます。実に恐ろしくて、この部屋から離れたことはございません」
「へええ。面白そうだね。どんな化け物かみたいよ」
「とんでもございません。はやくお帰りなさいまし」
「なにをいうか。せっかく来たんだ。私は泊まるよ」
「そんな無茶な」
「なに言ってんだい。爺さんよ、私が幼いときから怖いものなしだということを知ってるだろ」
「それはわかっておりますが、いくらなんでも」
「もういい。もう決めたんだ。爺さんは玄関の部屋に閉じこもっていればいいから」
「では、では、寝泊りの仕度は?」
「家から酒と食い物は持ってきたよ。ここに布団ぐらいならあるだろう」
「ちょうど、まだ使わずにいた布団など一式ございますので、それをお使いなさいまし」
ということになり、去病は屋敷に入って爺さんの手伝いの下に自分の部屋を片付けて床を敷いた。そして応接間に来てから爺さんに玄関に戻らせ、腹が減ったので、持ってきた酒とつまみを出し一人で飲み始めた。
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