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 杏林大・塚本慶一教授:通訳は真のコミュニケーターを目指せ

2014-11-24 13:16:38     cri    

■塚本氏、「日中通訳者への道」講演会

  ベテラン中国語通訳者で、杏林大学大学院日中通訳翻訳研究コースの塚本慶一教授(67歳)による「日中通訳者への道」と題した講演会が16日、北京で開かれました。2時間にわたる講演の中で、塚本教授は40年余りにわたる通訳現場や教育現場での体験や、通訳作業の特徴や技能習得、日中通訳の現状と将来性などを紹介し、出席者からの質問にも快く答えていました。

 塚本氏は講演の中で、「秀(見た目の良さ)、雅(ハイセンス)、神(常に極めたい心)」が、自らが求める通訳の目標だと話し、「通訳者は黒子でありながら、存在感もなければならない。真に迫り、聞き手を感動させることができるよう日頃の自己訓練を怠らず、ブランド意識を持って現場に臨んでほしい」と述べました。

 このほか、通訳者にとっての母語の大切さを強調した上で、学習三要素に「場、友、師」を挙げました。塚本氏はまた、日中両国の大学における日中通訳コースの設置状況を紹介し、「日中交流の場はこれからも拡大していく。同時通訳の世代交代も進んでいる。中国人と日本人の心を伝える通訳はとても重要で、日中通訳の将来は明るい」と受講生に語りかけました。

 主催は通訳者の養成にも精力的に取り組んでいる通訳・翻訳エージェント「北京大来」社。現役で活躍中の通訳者や、通訳を目指している若者を対象に無料に実施されたこの講演会には、インターネットで応募した50名余りが出席しました。

 ユーモアを交えた塚本氏の話に会場は時折笑いに包まれ、参加者からは、「紹介されたスキルアップの方法は、普段自分も実践していることだが、ベテラン通訳者の話を通して、その裏付けが出来たので、心強く思っている」、「声量のコントロールにずっと悩んでいたが、実用的なアドバイスが聞けてうれしい」、「通訳の重要性を再認識し、教わった内容をこれから現場に生かしたい」などの感想が聞かれました。

■塚本氏に聞く:「思、心、情で真のコミュニケーターを目指せ」

 塚本氏は2007年から杏林大学の教授に就任。修士と博士課程で中国からの留学生を含め、日中通訳のプロやその教育者を目指す若者の指導にあたっています。現在は、その指導の場は日本だけでなく、2003年の北京言語大学からの招聘を皮切りに、北京大学、北京第二外国語学院、北京外国語大学など多くの大学から客員教授として招聘されています。「自分のできることは多くない。若いとき、中国にお世話になったので、恩返しでもあると思っている」と中国行脚に寄せた思いを淡々と語られました。

 両国の交流において、言葉、そして通訳がとても重要だと強く訴えています。

 「中日の友好交流において、真の橋渡し役、コミュニケーターがいないとうまく繋がらないと思うんですね」

 日中両国の経済交流が活発になるつれ、中国の大学には日本語通訳翻訳修士課程(MTI)が次々に開設され、その数は現在、既に20余りの大学にまで増えているとも言われています。そうした中、北京第二外国語学院は2008年から、毎年秋に「全国通訳コンクール」を開催しています。第1回から審査員を務めている塚本氏は「選手たちの実力はどんどん伸びている」と評価している一方、「日本語に直す時には、日本の心が分からないといけない。そのために、日本語、日本人への思いが大切。思、心、情の三文字を、中国の若い人たちにぜひ覚えてほしい」、と「心の表し方」の重要性を訴えました。

 通訳の将来について、英語通訳は10年後に機械で対応できるようになるという(英)ケンブリッジ大学のレポートに触れ、「中国語にとってはあり得ない。同じ漢字であっても、歴史があり、伝統があって、ニュアンスの違いもある。やはり一ひねり、二ひねりが必要なんです」ときっぱりした口調で話されました。

 趣味はスポーツとグルメだと言います。

 「いろんな国の料理が好きです。とは言っても日中英で、多言語は無理ですね(笑)。もっぱら食べる方で、作る方は得意ではありませんので、まだ先のことですが、引退後にでも料理教室に通いたいと思います。どうせ作るなら、普通なかなか食べられないすごいものを作ってみたいな」

 グルメの道も通訳の道も常に上を目指す。塚本先生の一貫した信念がここにも見てとれます。 (取材・文:王小燕)国際・交流へ

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