韓国ソウル高裁は3日、日本の靖国神社への放火容疑がある中国公民劉強氏を日本に引渡すことを拒絶する決定を出しました。
2012年の1月8日、劉強氏はソウル駐在の日本大使館に火炎瓶を投げ込み、韓国裁判所から懲役10ヶ月の判決を受けています。この事件の調査過程で、劉強氏は2011年の12月26日に日本の靖国神社に火炎瓶を投げ込み、その日のうちに韓国に渡ったことを自供しています。これをうけて日本政府は2012年の5月に靖国神社への放火容疑により劉強氏の日本への引渡しを韓国側に求めました。そして韓国法務省は、劉強氏の刑期終了の2012年11月初めに、韓国ソウル高裁での引渡し審査を申請しました。
その後、11月29日、12月6日と12月13日の3回にわたる審議を経て、2013年の1月3日に韓国ソウル高裁は最終決定として、日本への引渡しを拒絶する判断を出したものです。これによって、劉強氏は即時釈放され、本人の希望により中国に帰国することができます。
韓国外交通商省は、この決定は韓国ソウル高裁が法律に基づき下したもので、韓国政府はこれを尊重し、中日両国も韓国ソウル高裁の決定を尊重して欲しいと発表しました。
今回の劉強氏引渡しについての審理で鍵となるのは、その犯行の政治性にあります。裁判の中で劉強氏は、その家族の中に日本軍慰安婦としての被害者がおり、靖国神社に火炎瓶を投げ込んだのも、日本政府が慰安婦問題について謝罪を拒否したからだと強調しました。韓国ソウル最高裁はこれについて「劉強氏の犯行の対象は靖国神社であり、靖国神社は法律上は宗教団体の財産であるが、同時に日本が対外侵略戦争を犯した象徴的な場でもある。劉強氏は政治上の大儀から罪を犯したので、両者は関連性がある。また、劉強氏は死傷者を出してはおらず、財産的損害も大きくはない。これらのことを踏まえた上で、劉強氏が重大かつ残酷な反人倫的な罪を犯したと判断することは出来なかった。従って、韓国ソウル高裁は、罪人が政治的罪を犯したと判定した場合は、引渡してはならないという『大韓民国と日本国の罪人引渡し条約』第3条に基づきこの判断を下した」と発表しました。またソウル高裁は3日、政治的犯行を犯した劉強氏を日本に引き渡すことは、韓国の政治秩序と憲法理念にそぐわないと同時に、多くの文明国の一般的な価値観にもそぐわないとの見解も発表しています。(劉叡)
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