農業大国の中国では、農村、農業、農民という「三農」問題が政府の重点施策とされています。今後5年の国家発展計画には、現代的農業産業システムの完備や農業生産における、経営の専門化、標準化、大規模化、集約化を促進していくことが提出されています。それと同時に、農民の収入を増やす道を切り開くことも盛り込まれています。中国最大の食用油と食品企業である中糧グループは「三農」問題の解決において、企業の社会的責任を担っています。
中国の東北地方にある黒龍江省肇東市で、中糧グループは金融協力や革新的な管理方法などを通じて、地元政府や農民と協力しています。そして、農民合作社の形で、経営の分散化や食糧生産の効率が低いこと、農民の収入増加のスピードが遅いなどの問題を解決しています。
五里明鎮は黒龍江省の重要な食糧生産地で、主にトウモロコシを栽培しています。食糧の生産量を増やし、農民の収入を増加させるため、五里明鎮政府は農業を規模化し、農業の現代化を進めています。五里明鎮の「先鋒トウモロコシ農業専門合作社」は合計879世帯の農民が加入し、2008年に設立されました。この合作社では、栽培、管理、収穫、販売を一括して行なっています。合作社の徐鳳玉理事長は「合作社が設立した後、経済的にはどうやって運営していくか。その鍵となるのは、農民の土地を集約して管理すること、同時に農民に最低限の収入を確保しなければならないということだ。合作社への加盟、脱退は自由なので、それなりの保障制度を制定する必要がある」と述べました。
中糧グループはその大企業としての優位性を生かし、合作社の全ての食糧の買取を保証すると共に、商業銀行から合作社への貸付も保証しています。これは、農業産業チェーン化の重要な一環となっています。政府、大手企業と商業銀行の連携は、農業生産の組織化を高めると同時に、プロジェクト、資金、市場、科学技術、土地など様々な生産要素の効率的な統合を実現し、農民にも確実に利益をもたらしています。
中糧グループが2009年に打ち出した目標は、顧客と消費者のニーズに応えて、畑から食卓まで、つまり農産物から最終的な商品までの連鎖を作ると言うものです。この連鎖は、小さな農家と多くの消費者を結び付けています。中糧グループの業務は米、小麦、大豆、アブラナの種、トウモロコシ、ブドウなどほとんどの農産物分野に及んでおり、全国の2%以上の農家に利益をもたらしています。企業と「三農」問題について、中糧グループの寧高寧取締役社長は「企業には、やれることが多い。企業は慈善的だったり、人助けをする立場にあるわけではない。そのような企業は成長できない。企業、特に食品業、農産物に関わる企業は全体的な戦略を構築し、新たな付加価値のあるものを作り、『三農』問題の解決に役立つことを考慮しなければならない」との考えを教えてくれました。
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