教育省の「中国都市化過程年度報告」プロジェクトチームと、上海交通大学の都市文化・コミュニケーション研究院が中心になって完成した「2011中国都市化過程報告」がこのほど、上海で公表されました。報告は、「行過ぎた」都市計画、都市ブランドの「低俗化」、都市主体の「遠心化」が、中国の都市化過程に悪影響を与える3つの大きな問題になっていると指摘しています。
都市計画ブームによる大規模取り壊しと建設ラッシュ
上海交通大学の都市文化・コミュニケーション研究院の劉士林院長は、「『計画不足』と『盲目的計画』が、中国の都市の発展に影響を与える主要な問題点となっている。『計画より個別プロジェクトを優先』と『投資需要による調整と修正・編制』という現象により、多くの都市に挽回できない破壊と損失がもたらされた。それによる最大の後遺症は、都市空間の均一化と都市経済機能の大量複製だ」と述べました。
専門家は、「都市計画は急速に増加しているが、論証、編制、発表、実施のプロセスで、有効な審議や監督管理が足りない。そのため、多くの計画は、都市を『理性的な成長』へ導かず、大規模に取り壊しては大規模に建築するという悪循環に陥った。それにより、資源の極端な浪費をもたらし、都市空間の自然な変化と歴史的な持続を妨げた」と示しました。
また、劉士林院長は、「行過ぎた計画」の現象を「富裕の貧困」と見なし、「計画不足と科学性の欠如も望ましくないが、『行過ぎた計画』も都市の健全な発展に影響を与える。うわべの繁栄だけの計画は、都市の粗放な発展方式を根本から変えることはなく、目を引くためだけの都市のイメージ宣伝や、政治的プロジェクトの道具となった」と考えています。
創意工夫に欠ける文化の低俗化
いま、多くの都市は、いずれも文化産業戦略の発展を計画しています。ほぼ同じような文化産業の発展計画は、都市間に大規模な類似の構造と同質の競争という結果を招きました。国内の多くの都市は、「物資的には発達しているが、文化はお粗末だ」という現状を変えるために、文化建設の上で「文化的に大きな事をする」にすがってきましたが、深く、長期的な文化精神が積み重ねられていないので、常に「成金のえせ優雅」になってしまいました。
ランドマークの建築はその1つです。北京、上海、広州などの大都市に立つランドマーク建築は、ほとんど国外のデザイナーが設計したものです。イデオロギー、文化的伝統、芸術観などが異なることにより、「シャレた」ランドマークが都市の近代化レベルを向上、展示するつもりでいながら、実際には都市の空間とイメージをひどく壊しています。専門家は「この戦略は、知力と美的センスのレベルにおいて、熱心にルイ・ヴィトンを求める若い女性と本質的な違いはない」とまとめています。
より良い生活とはほど遠いウサギ小屋住まいの都会暮らし
「2011中国都市化過程報告」の中で、「不動産価格の高騰により、都市は『大きな部屋を買えない』という現象に直面している。そのため、『北京、上海、広州から出る』と『大都市の偽りの幸福』という現象が起きた。『ウサギ小屋の都会暮らしもつらいが、都市から離れるのももっとたいへん』ということは、現代の都会人の苦しい生存状況の描写となっている」ということが明らかにされました。政治、経済、文化の適切な努力を通じ、「都市の生活をよりよくする」展望図を描くことは、中国の都市が直面している最も重要な理論的問題であり、解決すべき現実的な問題でもあります。
専門家は「中国の都市化過程で徐々に現れてきた「都市の文化病」は、都市暮らしの良さを奪い取り、人々の都市に対する熱愛と希望を壊し、都市の持続可能な発展を脅かしており、至急、解決しなければならない大問題となっている」と指摘しています。(翻訳:ken チェック:大野)暮らし・経済へ
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