青海地震で2000人を超える人の貴い命が奪われていたなか、震源地の玉樹にある第一民族中学校では、生徒と教師全員が無事避難したという小さな「奇跡」が起き、話題となっています。
軽い揺れでも全員を起こす
地震発生当日の4月14日午前5時40分、宿直のヤンリドト(漢字表記:厳力多徳)副校長は、ちょっとした揺れで目が覚めました。2年前の四川大地震の惨事が頭をよぎると、すぐに起きて宿舎を飛び出し、校舎前のグラウンドに駆けつけました。そこには、同じく宿直だった先生4人がすでに立っていました。
「早く生徒たちを起こそう!」5人はただちに寄宿舎に飛び込みました。
880人を超えるこの学校の生徒のうち、330人余りが寄宿生。先生たちは、声がかすれるまで生徒全員を呼び起こし、グラウンドに集めさせました。そして、生徒一人ひとりの名前を呼んで確認し、全員集まっていると分かると、ようやく落ち着きが戻りました。
地震発生、全校生徒を緊急避難
不安な表情を見せている生徒たちを落ち着かせるため、先生たちは、生徒たちに教科書を朗読してもらうことにし、すると綺麗な朗読の声がグラウンドに響き渡っていました。やがて家から通う生徒も続々と来て、7時半、全校生徒がグラウンドに集まりました。
それから間もなく、7時49分、地震が発生。激しい揺れの後、校舎3棟のうち、1980年代に建てられた1棟が倒壊。2000年以降にできた2棟は、倒壊こそしませんでしたが、使えなくなりました。
この学校は谷間にあり、わずか数キロ離れたところには水力発電所のダムがあります。「地震の揺れでダムが崩壊したら、低いところにある学校は危ない」。そう気がついた先生たちは、素早く生徒たちを学校裏の山上に避難させました。
そして午後1時頃、ダムの安全確認を受けてから、先生たちは生徒たちをつれて学校に戻りました。そして、みんな力を合わせて木の枝や布などを探して来て、簡易テントをつくり、避難していました。
日ごろから防災訓練
ブジョツァイレン(漢字表記:布周才仁)校長によれば、生徒と教師全員が無事に避難できたのは、防災訓練を繰り返したおかげだそうです。
昨年、中国湖南省湘潭市のある中学校で、多数の生徒が階段で将棋倒しとなり、生徒8人が死亡した事故がありました。この事故と2008年の四川大地震を教訓に、玉樹県第一民族中学校では、防災訓練が行われるようになりました。訓練を通して、先生たちは緊急時、冷静に生徒たちを避難させる方法を身につけました。一方、生徒たちも、先生の指示に従って行動し、自分を守ると共に助け合うことを覚えました。
青海地震から4日間が経った4月18日、この学校は授業を再開しました。授業を再開した初めての学校となり、仮設教室のテントから、生徒たちの元気いっぱいの朗読の声が、再び谷間にこだましています。(鵬)
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