在日中国人の水墨画家である袁波さんは、この度北京で個展を開き、新中国建国60周年を祝いました。
袁波さんは中国の著名な水墨画家である劉志義の弟子で、彼の作品は海外で高く評価されており、代表作には『求める』(カナダ・ケベック美術館所蔵)などがあります。今回の展示は6月20日から7月2日にかけて開催され、袁波さんの最新作が披露されました。
展示会場:広電国際ホテル・鼎美術館
その中で、特に注目を集めたのは『蓮演繹シリーズ』で、袁波さんは自身が長年海外で生活した経験から、「蓮」という極めて普遍的な題材にたどり着きました。彼が描く蓮は実在の領域を超え、まるで夢のような、独特のテイストを醸し出しています。
『蓮演繹シリーズ』
このほかに、『暖春』、『コスモス』など自然を題材にした作品も多く展示されました。彼の作品から、中国の水墨画の洗練された技法、日本の浮世絵の鮮やかな色彩、そしてヨーロッパの印象派の大胆な構図が感じ取れます。
水墨画家:袁波 インタビュー>>
芸術家の作品は芸術家自身
画家は自身の理想世界の独裁者であり、美の提唱人である。
アートは幻覚によって真実を夢路へ誘い込む過程であり、
それは感情の現れ、魂の声、画家自身の本質をさらけ出す。
願いを叶える唯一の方法は行動、思考と模索、勇気と忍耐力である。
(袁波さんが今回の個展に寄せたメッセージ)
芸術家の作品は芸術家自身を表すものです。袁波さんは1987年に日本へ渡り、それから22年間、中国や日本の水墨画を研究し続けました。現在、袁波さんは在日中国水墨芸術家連盟の執行役員、国際芸術家連盟常務理事などを務め、日本の水墨画家界で積極的に活躍しています。東京の郊外を拠点にして、日本の水墨画家と作品を共同制作することもあるそうです。
袁波さんは、日本の水墨画は長い歴史の中で独特の発展を遂げていると話します。日本の水墨画と中国の水墨画の画風を比べると、日本の水墨画の方が静かで落ち着きがあるそうです。水墨画が日本で広まり始めたのは15世紀末のことで、日本の偉大な禅僧である雪舟が、中国の水墨画を日本へ伝えました。それから既に500年あまりの歴史があります。
休日、袁波さんはよく日本の自宅近くの川原を散策します。身近な自然に触れることで、創作のインスピレーションが得られるそうです。去年の春、袁波さんは初めて桜を描きました。蓮や蘭と比べ、桜は水墨画の典型的な題材ではありませんが、日本での長年の暮らしの中で、毎年春、刹那に輝きそして散ってゆく桜を見て、袁波さんはその言葉で表せない憂いと優美さを画に表したいと強く思ったそうです。こうして、淡いピンク色が紙全体に広がる満開の桜が彼の作品に描かれました。この作品は、今回の展示会で見ることが出来ます。
袁波さんの作品は中国や日本に限らず、世界各地で親しまれています。袁波さんはカナダ、スペイン、ポーランド、ドイツなどヨーロッパでも個展を開き、高い評価を受けています。いま袁波さんは、来年北京の中国美術館で開かれる個展の準備を進めている最中です。
いまや世界的に活躍する袁波さん。海外で成功を収める秘訣は「実力を証明すること」だと語ります。
袁波さんのプロフィール>>
1955年 2月生まれ。19歳から中国の著名水墨画家劉志義に画を習う。
1987年 日本へ。
1990年 作品『求める』でカナダ国際美術大賞を受賞。
1991年 日本国際特別賞受賞。
1998年 北京中国美術館で個展を開く。
2003年 日本水墨画秀作展で外務大臣賞受賞。
現在 国際文化芸術家連盟常務理事、JIAS日本国際美術協会会員、在日中国水墨芸術家連盟執行委員、中国海南大学芸術学科客員教授などを務める。
著作等:
『袁波画集』(天津楊柳青出版社)1999年
| ||||
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |