東莞は中国東南部沿岸地域にある町で、メイン産業は輸出型製造業です。去年の輸出総額は1000億ドルを超えましたが、今年は世界金融危機の影響を受け、収益力や受注量において、明らかな下落が見られました。
東莞市の政府関係者・王道平さんの話です。
「今回の金融危機は輸出型経済をメインとする東莞に明らかな影響を及ぼしました。私たちの輸出目的地は、欧米が半分以上を占めているからです」
東莞市の調査によりますと、これまで東莞市では、全体の9割の企業が黒字経営でしたが、今年は赤字経営となった企業が3割、わずかに収益を上げている企業が2割で、黒字経営はわずか5割にとどまっています。しかし、王道平さんは、「今年の1月から10月まで、東莞の輸出入は引き続き14%の伸び率を保っている。転出もしくは閉鎖した企業は714社で、例年と比べてほぼ横ばいだった」と明らかにしました。
王道平さんは、「東莞の企業は、今回の金融危機で二分化した。倒産を迫られている企業もあれば、勢いよく発展している企業もある」と語っています。後者の一例が、イースト電子有限公司です。イースト社は中国でも名の知られたハイテク企業で、中国の有人宇宙船「神舟」号のUPS(無停電電源装置)や、国家体育場「鳥の巣」、チベット鉄道など国家重点プロジェクトで使用された電源の主要サプライヤー企業でもあります。強力な自主研究開発能力を生かした製品は長年、世界トップのシェアを保ってきました。何思模総裁の話です。
「今回の金融危機が東莞の一部の企業に損失をもたらしましたが、これらの企業は主として加工貿易型企業か、OEM(相手先ブランド製造)企業でした。彼らは自主イノベーションを実施しておらず、ブランドも所有していません。イースト社のような独自の技術とブランドを有し、内外市場で大きな存在感を持つ企業はほとんど影響を受けていません」
何総裁は、イースト社は1億7千万元の資金を拠出し、危機に陥った海外の合弁先の持ち株を買い戻すことを明らかにしました。このことは、合弁先の財政事情を緩和するだけでなく、会社の更なる発展にとってもプラスになると何総裁は見ています。
ここ数年、東莞を含む珠江デルタ地区は絶えず、企業のイノベーションや産業のグレードアップを推し進めてきました。東莞市は毎年、労働集約型で、技術レベルの低い企業を計画的に広東省の東部や西部、もしくは省外や海外に移転させてきました。金融危機が起きてからも、さらに数多くの措置を講じ、産業のグレードアップに尽力してきました。たとえば、10億元を出資して企業転換発展基金を設立したり、企業の融資担保に10億元を提供しています。
東莞市政府関係者・王道平さんの話です。
「金融危機は困難をもたらしました。しかし、視点を変えれば、この危機に的確に対応できたとしたら、それは発展のチャンスにもなります。労働集約型で、科学技術レベルが低く、市場力が弱い企業に撤退してもらえば、その分、科学技術のレベルが高く、前途の明るい企業により多くの資源をまわせます。私たちは、東莞の将来に自信を持っています」
(翻訳:Yan)
| ||||
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |