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世界遺産の「龍門石窟」を取材
   2007-04-28 19:57:10    cri

 龍門石窟(洛陽市)

 見学用階段

   

 河南省鄭州市で開かれている第2回中部投資貿易博覧会の合間を縫って、世界遺産にも指定されている洛陽市の龍門石窟を取材して来ました。黄河の支流の伊河の辺にある龍門石窟の門を入ってもすぐには何も見えず、何処に石窟があるのかなと一瞬思いましたが、しばらく歩くと右側の崖の所に次々と石窟とその中に彫られた仏像が現れてきました。

 

 賓陽洞

 この龍門石窟には、5世紀の北魏の時代から唐の時代までおよそ500年間に渡って作られた2300余りの石窟と10万体を超える仏像が残されています。まず目を引いたのは、北魏の時代に作られた「賓陽洞」という石窟にある釈迦像です。ガイドさんの話によると、北魏の時代に作られた仏像は、やや細めの顔が美人だという傾向があったために、仏像の顔も細めに作られ、微笑を蓄えた穏やかな表情をしているという事です。

賓陽洞の釈迦像

 それに対して唐の時代の仏像は、どちらかと言えばやや丸みを帯びた顔をしているということで、龍門石窟で最大の仏像、「奉先寺」の盧舎那大仏を見ると、なるほど、ややふっくらとした顔つきでした。高さが17,14メートルもあるこの大仏は、階段を上ると急に目に入ってくる所にあり、その脇には弟子や力士などが並んでいて、壮観です。

 

「奉先寺」盧舎那大仏

 龍門石窟は、甘粛省の敦煌石窟、山西省大同の雲岡石窟と並んで中国の三大石窟のひとつで、小さいものも含めた仏像の数が最も多いのが特徴です。大きさが4センチぐらいの小さな仏像がいっぱい彫られた石窟もありました。当時の一般庶民が幸せを祈って彫ったものだと言われており、見ていて親しみを感じます。

仏像がない石窟

 顔が欠けている仏像

                

 わずか1時間ほどのハードな取材時間でしたが、駆け足で見て回った中でも、石窟はあるのに、その中には仏像がないものや、仏像の顔など体の一部が破損しているものを結構見かけました。仏像が消えて無くなっているのは、1920年代から40年代にかけて盗掘の被害に遭い、欧米や日本などに流出してしまったためだということで、また体の一部が破損しているのは、いたずらや自然の風化に因るものだということです。

環境調査を実施中

観測機器

             

 2000年に龍門石窟が世界遺産に登録された後、この石窟を保護修復しようという国際的な動きが具体化しました。2001年から日本と中国それにユネスコとが協力をして保護活動を進めることになり、まずは地質調査や石窟の環境調査に取り組み、その後試験的に保護修復作業をスタートさせました。現在、環境調査が行われている洞窟には、観測機器が設置されていました。貴重な文化遺産を、これ以上傷つけないようにするためにも、保護活動が一日も早く具体的な成果を上げて欲しいものです。(文と写真:中村治)

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