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『物権法』が公布、一般市民も強い関心
   2007-03-30 14:07:13    cri

 3月19日、中国社会で強い関心を持たれている『物権法』の内容が正式に公表されました。所有権、用益物権、担保物権、占有などについて、五編十九章247条の法律条文を定めているこの法律は、10月1日から正式に施行されます。

 物権法とは、民法の一部で、直接に物を支配することを内容とする権利に関する法律です。中国で『物権法』草案が初めて起草されたのは1993年で、14年後にようやく法律が成立したことになります。この法律は、社会主義市場経済制度の下での私有財産の保護や、個人住宅の購買契約満期後の継続的な使用、農村の土地収用、立ち退きする際の経済補償など、社会から強い関心をもたれている内容をたくさん盛り込んでいるため、今年の全国人民代表大会で成立するまでに、8回にわたる審議を受け、1万件余りの修正意見が寄せられ、中国で審議の回数が最も多い法律となりました。

                   

 『物権法』が公布された後、普及講座や応用講座などが人気を博し、また、一般読者向けの関連書籍の出版ブームも起き、社会での注目度が高まりつつあります。では物権法の中から、一般市民が注目するところをいくつかご紹介しましょう。

注目点 その1)国や団体、個人の物権の平等保護

 19日に公表された法律条文は、中国の基本的な経済制度を堅持することを原則としつつ、「国、団体、個人の物権、およびその他の権利者の物権は法律の保護を受け、いかなる機関・個人も侵害することはできない」と規定し、国や団体、個人の物権に対し、平等に保護することを明確に定めています。

 民法学者で、中国社会科学院法学研究所の王家福氏は「物権法草案の平等な保護の規定は、市場経済の特徴に基づいて決定されたもの」だと指摘し、「市場経済は市場主体が同等の権利を有し、同一のルールに従い、対等な責任を負うことを求める。市場主体が平等でなければ、中国の市場経済は立ち行かない」と話しています。

 人民大学の王利明教授も平等保護の原則を高く評価し、「平等保護がなければ、共同で発展していくことができない。平等保護の原則は憲法の所有制に関する規定に合致しており、社会主義の特色を表わしている」と見ています。

注目点 その2)国有財産の保護を強化

 『物権法』は平等保護の原則の上で、国有財産の保護や国有資産の流失を防止する措置をも強化しています。国有財産の帰属について『物権法』は、自然資源や、国有インフラ施設、政府機関の財産など「法律で国家所有と規定した財産は、国、つまり、すべての国民の所有になる」と明確に規定しています。

 中国人民大学法学院の王利明教授は、「これらの規定は国有経済を強くし、国の経済的実力を強め、社会主義制度の優越性を発揮させる上で、重要な役割がある」と見ています。また、国有企業の資産の流出について、『物権法』は規定に違反した責任者の法的責任の追及を厳しくしています。

注目点 その3)農民の土地使用権の保護

 農村の土地利用に関する規定は、『物権法』の中で最も注目されていたところと言えましょう。中国の土地所有制は、農村部では集団所有、都市部では国有が基本的な形態ですが、1978年の改革開放で、農村の土地は各農家が請け負うという「土地請負経営制度」が導入され、農民の土地使用権が認められました。しかし、これまでは農民の土地使用権の期限、譲渡、抵当などについて、明確な規定がありませんでした。

 『物権法』では、土地の請負が満期になった後も、引き続き請け負うことが可能だとしており、農民が長期にわたって土地を使用する権利が保障されています。このほか、この法律は農民がその請け負った土地を使って経営する権利をも守り、さらに、農村の土地の請負権の譲渡と流通をも認めています。ただし、農業用地が他の用途に転用される場合には、厳しい規定を設けています。専門家は、この規定は、現行の法律と現段階の国の農村土地政策に関する規定を守っていると同時に、今後、関連の法改正や政策の調整に余地を残したと述べています。

注目点 その4)都市部住民の注目点

 『物権法』の公布は、住宅を購入した都市部の住民からも強い関心を寄せらています。一つは、住宅建設用地の使用権が満期になった後の規定についてです。中国では長い間、住宅は勤務先から配分されていましたが、1990年代半ば以降の住宅改革で、個人住宅の購入が主な形態になりました。これまで、個人が住宅を購入する場合、宅地使用権は普通、70年間で契約されていますが、期間満了後の宅地使用権について、明確な規定がありませんでした。これについて、『物権法』は「住宅建設用地の使用権の期間が満了した後も、自動的に延長する」と初めて明確な規定を設けました。

 このほか、『物権法』は、「建築物は、国の関連建設基準に違反したり、隣接の建築物の通風、採光と日照を妨げてはならない」と規定しています。この規定は、住民の「日照権」を守る上で、法的根拠を与えたとされています。

 『物権法』はさらに、住宅団地で不動産管理を行う会社(物業公司)の招聘決定や解約は、住宅のオーナーが共同で協議して決めることが出来るという項目を設けています。不動産管理は住宅改革に伴って現れた新しい産業で、住民と密接にかかわっていますが、これまで、不動産管理会社はデベロッパーにより指定され、団地の管理をめぐり、住民と不動産管理会社の間でトラブルが多く発生しています。『物権法』では、住宅のオーナーが住民委員会を設立し、自ら法に依拠して権益を守ることについて明確な規定を設けました。(新華ネットに基づいて整理、王小燕)

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