WHO・世界保健機関、FAO・国連食糧農業機関、IBRD・世界銀行及び世界動物衛生機関が共催する「鳥インフルエンザ予防国際会議」が、今月7日から9日までジュネーブで開かれています。
80以上の国や地域からの政府関係者と専門家、及び国際機関と大手製薬会社の代表らが今回の会議に出席しています。会議は、鳥インフルエンザの感染情況や、人間への感染防止、及びその予防活動での国際協力をいかに強化するかなどについて討議します。
今回会議が開かれる背景には、アジアの一部の国で人間が鳥インフルエンザに感染したことが相次いで報告された一方、ヨーロッパでも感染が発見されたなどがあります。現在、鳥インフルエンザの感染が報告されていないのはオセアニアとアフリカだけとなっていますが、冬の訪れに伴い、南への渡り鳥によって、アフリカ大陸も鳥インフルエンザに襲われる可能性があります。全世界に及ぶ鳥インフルエンザ予防活動の中では、アフリカは言うまでもなく、最も感染が心配されるため、アフリカでどのように鳥インフルエンザの感染を防止できるかは現在最も注目されるところです。
今月4日、第7回アフリカ連盟農業牧畜業閣僚級会議では、鳥インフルエンザにどう対処するかが初めて討議され、その結果として、当面の急務はアフリカで鳥インフルエンザを観測しコントロールするシステムを設立することであるとなっています。
しかし、アフリカの如何なる国も財政予算の問題で感染防止策を充分に取れないとしたら、アフリカ全体の防止効果が必ず大きく影響されるだろうと国際社会は心配しています。ですから、今回「鳥インフルエンザ予防国際会議」の最も重要な議題の一つは、アフリカやその他の地区の貧困国では効果的に鳥インフルエンザをコントロールすることが出来るようにするため、いかにこれらの国が協力するかということです。
そして、今回の会議が抱えたもう一つ大きな議題は、いかに資金を最も効果的に使うかということです。これについて、国連食糧農業機関のディウフ事務局長は、このほど、鳥インフルエンザが動物の病気であるため、それを防止するためには、まず動物間の伝染を食い止めなければならないと指摘しました。しかし、現在、国際社会が最も関心を持っているのは鳥インフルエンザが人間にもたらす影響であり、多くの貧困国で獣医サービスシステムが確立されていないことが充分に意識されていないことです。これらの国の獣医及びその動物衛生関係者の仕事を援助するため、より多くの資金投入が必要となっています。
それから、現在、世界各国のウイルス抵抗薬とワクチンの研究開発活動には協調性がないことが指摘されました。これは今回の会議で解決しなければならない第三の問題です。
特許権保護などの原因で、ウイルス抵抗薬の生産は限定されており、その価格も高いことから、生産量が社会のニーズに応えられず、需要が供給を大幅に上回っています。この情況の下で、鳥インフルエンザウイルスによる人間への感染が大規模に発生するとしたら、全人類の安全が脅かされることになると見られています。
今回の「鳥インフルエンザ予防国際会議」では、いかにワクチンと関係薬の特許権を守りながら、その研究開発の能力と生産力を高め、関係薬品の価格を下げるかが討議される予定です。
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