中国農業省が今日(4日)発表したところによりますと、東北地方の遼寧省黒山県で鳥インフルエンザが発生したということです。現在、中国の関係部門と地元政府はこれに対して緊急の措置を取っています。これで今年の秋、中国国内で発生した鳥インフルエンザは四回目となりました。鳥インフルエンザの予防において、厳しい情勢に直面し、中国政府はこのほど、相次いで予防のための基金を立ち上げ、指導部を発足させるなどの措置を取っており、その作業に全力を挙げています。
中国農業省によると、遼寧省黒山県で発生した鳥インフルエンザの発症源は渡り鳥で、その影響は6つの町の養殖農家に及んでおり、死亡した鳥は9000羽近くに上ることが分かりました。
遼寧省鳥インフルエンザ予防指揮部の付景武主任は、地元政府が取った応急措置について、「まず疫病の発生地域を厳格に封鎖する一方、疫病発生地域の周りに臨時の検査所と消毒所30ヵ所あまりを設けた。また、延べ3000人以上を出動させ、疫病発生地及び汚染のもっともひどかった地域で綿密な消毒作業を行った。さらに、850万ミリリットルのワクチンを調達して、感染の恐れがある周辺地区の家禽、1390万羽に接種して、免疫力をつけた。そのほか、各政府は、資金、500万元を拠出し、家禽業者の補償に当たっている」と述べました。
秋に入ってから、遼寧省で鳥インフルエンザが勃発したほか、中国のほかの地方でも、三度相次いで発生しました。中国農業省の尹成傑次官は、「鳥インフルエンザの予防と治療の状況は、とても緊迫している」と指摘し、その理由について、次のように分析しています。
「一つは、我が国の家禽の飼育は、放し飼いを主としている。その比率は、60%以上を占めているため、予防と治療が更に難しくなる。もう一つは、我が国の水禽の飼養数は、37億羽に達しており、世界の70%を占めている。水禽が持っているウイルスが鳥に感染しやすい。第三に、世界の渡り鳥の経路は、8つあるが、その3つが、中国にある。秋と冬の到来により、渡り鳥が多く中国にやってきて、疫病が起こりやすい」と述べました。
このような状況を踏まえ、中国国務院はこのほど、鳥インフルエンザへの対応強化について話し合う会議を開きました。会議では、各部門による協力体制を強化するため、農務省、衛生省、科学技術省など各部門の責任者による全国鳥インフルエンザ対応指揮チームの発足を決め、また、中央からの支出により、20億元の基金設置も決定されました。基金は主に、新型ワクチンや薬品の開発、研究など、鳥インフルエンザに対応するための科学技術の開発と、各地での防疫インフラ建設に用いられます。
このほか、すでに行われた対策をもとに、中国農務省はこのほど、「鳥インフルエンザ緊急対策案」を発表しました。対策案では、感染の警告レベルを特に高い、高い、やや高いそして普通の4段階に分け、事態の重さに応じてそれぞれ赤、オレンジ、黄色、青で表示することになりました。
中国農業大学動物医学院の陳福勇教授は、疫病発生の状況にレベルを付けるのは一般民衆が鳥インフルエンザの状況を知ることにとってプラスとなり、「4つのレベルの警告を制定する目的は鳥インフルエンザの状況を透明化し公開することにある。これはわれわれ家畜養殖業の保護と鳥インフルエンザの感染予防にとってプラスとなるやり方だ」と述べました。
現在、中国各地は様々な状況に臨機応変に対応するため、鳥インフルエンザの状況の監視に力を入れています。関係筋によりますと、中国の専門家は既に鳥インフルエンザの予防に効果的な新型ワクチンを開発し、現在はテスト段階だということです。このほか、鳥インフルエンザ予防において、中国は国際社会との協力を強化し、2国間や多国間のシンポジウムに積極的に参加し、さらに一部の国には予防技術とそのための物資を提供しています。
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