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郭連友さん母校への愛を桜に

2014-04-01 15:14:42     cri    

 この春、インターネットを中心に「桜リポーター募集」の企画を始めてから、全国各地から多くの応募がありました。その中の多くは、「日本」、あるいは「日本語学習」と深く関わっているものでした。中国では桜の花と言いますと、「日本文化」のシンボルで、「中日友好」の象徴であることが改めて確認できました。
 多くある募集の中、現在、北京外国語大学日本学研究センターの副主任教授を務めている郭連友さんから、真心のこもった文章と、多くの写真が送られてきました。1973年に天津外国語学校日本語学科に入学した郭さんは、その文章の中で、母校創設50周年記念に桜の苗を寄贈した前後のことを丁寧に報告してくださいました。撮影愛好者でもある郭さんの写真から、さくらの花を愛でる優しいまなざしが伝わってきます。
 原文は中国語で書かれたものです。その一部をピックアップしてここでご紹介します。

                              母校への愛を桜に 
                    
天津外国語学校創設50周年記念に寄せて  

 去年の9月のことでした。母校の創設50周年記念に、OBの私たちが何ができるのかという同級生からの連絡が入ってきました。色々な意見がでた中で、私は「桜の苗を寄贈しよう」と提案しました。そう提案したのは、日本語の学習者なら、ほとんど誰もが桜の花には特別な思いがあるからです。それだけでなく、さくらの花が満開になれば、ほとばしるような奔放さがあり、たいへん美しく、見る人をうっとりさせます。私たちのクラスには32人いたので、苗の数を32本にしようと提案してみたところ、皆から暖かいレスポンスがありました。

 このような私たちの意向を母校に伝えたところ、直ちに前向きな回答があり、植樹候補地の写真まで送られてきました。それを受け、10月1日に、私たち代表数人が各地から母校に集まり、校長先生自らの案内の下で、候補地を確認し、最終的な植樹の場所を決めました。


2013年10月 候補地の下見に集まった代表たちと学校側の担当者たちとの記念写真

 ところで、当日の下見には、同級生張暁英さんの勤務先から、総経理の根来さんも仲間として加わってくれました。中国で環境ビジネスの会社を経営している根来さんは、元々は美術デザインの畑の人でした。日頃から熱心にボランティア活動に打ち込んでいる根来さんは、私たちの提案に賛同し、ボランティアで桜の花園をデザインすると名乗り出てくれました。


根来宣幸さんの手がけた天津外国語学校桜花園の平面図(第6稿)

 仕上がるまでに6回もの調整がありました。そんな根来さんの提案は、太めの苗1本を中心に、扇状に苗を植える。丁度、生徒が先生を囲んで、講義でも聞くような構図で、学校にふさわしのではという発想のようです。

 ただ、実際に植える時には、苗は少なくとも5メートルの間隔が必要なことが分かり、根来さんの提案が再び微調整され、最終的に21本を植えることで決着しました。

 早速、結果をクラスの同窓に報告したところ、どうしても連絡がとれない3人をのぞき、29人の生徒と担任の先生1人、計30人から寄付金がすぐに集まりました。  

 さて、桜の品種は、真剣に検討した結果、日本の桜の8割を占めるものの、天津ではまだ姿を見ないソメイヨシノに決定。

 幹が高い上、花びらがたいへん美しく、満開となれば大変見応えがあるので、ソメイヨシノは桜の中でも人気の品種です。苗は山東省日照市にある桜の苗木基地から調達することになりました。青島に寄贈された日本からのソメイヨシノが親木で、そこに接ぎ木をして増やしたものなので、純正だと言えます。

 ところが、心配なのは天津の土です。アルカリ性の強い土壌のため、桜の花には向いていないと良く言われています。そのため、天津の神戸園、水上公園などにも桜が植えられていますが、成長の具合はイマイチで、すでに枯れたもの出ています。土壌のネックをクリアするため、北京玉淵潭公園の桜栽培の専門家、許暁波エンジニアの力を仰ぐことにしました。このほか、私たちは自力で、インターネットなどを通して、中国語と日本語による資料をなるたけ集め、猛勉強をし、整理したものをすべて母校に提出しました。お陰様で、許さんの根気強い指導の下で、土壌調査が行われ、土に水を混ぜる試験も行われました。これを踏まえて、大規模な土の入れ替えと改質が行われました。

 11月9日、私クラス全員の熱い気持ちが込められた桜の苗が、日照の苗木基地から7、8時間もの車の旅を経て、無事母校に到着しました。


苗木寄贈式後の記念撮影


 こうやって、一本目の苗が植えられました

 21本のソメイヨシノの苗が植えられた緑地は、「桜花園」と命名され、題辞は担任の甘藍先生が書くことになりましたが、先生は遠慮して落款のところだけを書くことにし、目玉の三文字は上海書道協会の王志毅さんに揮毫を依頼しました。

 さて、苗が植えられて間もなくして、厳冬がやってきました。越冬のために、母校の桜担当の許さんとスタッフたちは、苗に冬の衣装を着せました。水分を保持するため、幹に縄を縛ったほか、寒い北風から守るため、苗の北側に高いフェンスを作りました。

 こうして、多くの人が手塩にかけて手入れしてきた桜の苗は、天津で初めての春を迎えようとしています。

 しばらくはそわそわの毎日でした。果たして花を咲かせてくれるのでしょうか。

 この春先、母校からリアルタイムで花便りが送られてくるようになりました。連日、嬉しいお便りでした。21本の苗がすべて根付き、蕾を膨らませて元気に育っている。そして、3月25日に初めて花を咲かせた。


2014年3月25日、天津外国語学校に初めて咲いたソメイヨシノ


3月27日 5、6分咲きを迎えた桜の花


3月28日 「桜花園」の文字を石に彫る職人

 メールだけでは物足りず、北京にいる私はこの前の週末、2回目の様子見に母校に行ってきました。健気に咲いている花びらをこの目で眺めながら、嬉しさと感動で胸がいっぱいです。

 母校のキャンパスに植えた桜には、我々の祝福と母校への深い愛が込められています。しかし、美しい花を咲かすことができたのは、大勢の方たちのご努力の賜物と言えます。

 美しい花を見ながら、一丸となって頑張ってきた大勢の方たちに心から感謝の言葉を送りたいです。

 そして、桜の苗の成長とともに、母校の更なる飛躍も心よりお祈りしております。

■【天津外国語学校】とは

 天津外国語大学附属外国語学校の略。1964年、中国全土で最初に開設された外国語学校7校の1つ。創設の批准書に、当時の周恩来首相直筆の指示が書き込まれていたとも言われています。
 中高一貫校の全日制学校。英語、日本語、ドイツ語、フランス語、スペイン語などの専攻があり、在校生徒2300人。
 公式サイト:http://www.tfls.cn

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