中国・日本・韓国の間の自由貿易協定(FTA)はどのように構築を進めていけばよいのだろうか。一番初めに必要なことは、3カ国の政治のリーダーが安定し、決意を固めることだ。東アジア地域の政治的混乱が世界中の注目を集める今、当事国の政治のリーダーや各界のトップは誰しもこの点を認識する必要がある。中日韓の間にあるのは歴史問題や現実的な問題に対する見解の相違だけではない。3カ国の間には、非常に大きく、広い範囲に及ぶ共通の利益も横たわっている。隣国は選ぶことができない。各国は当面の利益のために良好な競争を展開するとともに、子孫や後の人々の暮らしのことをしっかり考えなければならない。人民日報海外版が伝えた。(文:梅新育、商務部(商務省)国際貿易経済協力研究院研究員)
中日韓自由貿易協定の構築のためには、適切な内容と適切な推進戦略を選択する必要がある。3カ国の経済発展水準の高さを踏まえると、FTA構築では貨物貿易、サービス貿易、資本流動の自由化と利便化といった内容が組み込まれるのは確実だが、だからといってFTAの交渉や推進においてすべてのことが同時にすいすい進行すると期待できるわけではない。適切な戦略は、まず容易なことに手を付け、困難なことは後回しにする、これしかない。まず差し迫った問題を解決し、それから長期的な制度の構築を進めていくのだ。全面的な自由貿易協定を確定できなかったとしても、まず早期に成果を出せるプロジェクトを確定して合意を取り結び、次により大きな範囲での進展をはかり、目に見える具体的な成果に基づいて各国における自由貿易協定の支持基盤を開拓し、反対意見を封じていけばよい。中国-東南アジア諸国連合(ASEAN)自由貿易協定の構築が順調かつ急速に進展したのは、早期に成果を出せるプロジェクトをうまく設定できたことが成功のカギだ。
中日韓自由貿易協定の構築を推進するには、よく協力し、危機をチャンスに変えることが必要だ。現在、世界経済の不確定性が増大しており、特に新興市場の経済体に広い範囲で経済の混乱が起きている。ロシア、ブラジル、インド、南アフリカが経済成長の急激な落ち込みや通貨の急落といった泥沼に相次いで足を踏み入れ、長年世界経済のトップを走る優等生だった中国も経済成長ペースが鈍化している。
東アジア地域の経済が全体的にペースダウンする中、地域のリーダー役の経済大国である中日韓が、自国の問題を隣国に押しつけたり、調整の圧力を他国に転嫁したりする道を歩めば、それは間違った道に他ならない。3カ国は団結し、地域内の協力を強化することによって、国際経済の混乱による衝撃を軽減させなければならない。そのためには、国際経済・金融で新たな混乱の圧力がかかる中、東アジアの金融協力を加速的に推進し、金融協力推進を中日韓自由貿易協定の構築に組み込み、東アジア全体の危機対応力を増強するのがよい。中国は貿易相手先の経済の安定と成長を牽引し、これによって自国の対外経済貿易の持続可能な発展を牽引する十分な力がある。中国がさらに望むことは、より多くのパートナーの参加を促し、地域経済を安定させる力を発揮して、地域経済安定に向けて恒久的なメカニズムを構築することだ。
自由貿易協定の構築は中日韓にとってプラスになることだ。自由貿易圏が生まれれば、北東アジアの地域経済協力を強化することで地域内の政治や歴史などをめぐる矛盾や衝突を和らげ、地域経済の発展に新たな活力を注入し、3カ国に経済と政治の両面で利益をもたらすものと期待できる。特に東アジアの各経済体は欧米市場への依存度が高く、これは一方では東アジア経済の自主性に悪影響を及ぼし、また一方では東アジアの通貨が米ドル頼みから脱却することを難しくしている。こうして東アジアは寄り集まって米国のために商品を補充・提供する生産現場、また低金利の融資を提供する「金のなる木」に成り下がっている。こうした局面を脱したいなら、東アジア地域の経済一体化を強化し、欧米市場の一部を地域内市場に切り替えることが脱出口になる。中国はASEANとの自由貿易協定がどれほど大きな進展を遂げても、経済発展水準が非常に高い日韓両国との間で自由貿易協定を結ぶことができなければ、東アジア地域の経済一体化は成功とはいえない。中日韓自由貿易圏構築の成功を期する。「人民網日本語版」より
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