注釈:CFR(Cost and Freight)とは、「コスト+輸送費(指定された目的港)」のことです。「コスト+輸送費(指定された目的港)」は、販売側が船積港で貨物を船に積み込んだ時点で、荷渡しの手続きは完了したと見なされ、目的港までの運賃と費用は、販売側が支払うことになります。また、それとともに、貨物の紛失や破損のリスク、その他さまざまな追加費用の支払い義務も、販売側から購入側に移ることになります。
判例:
アメリカの輸出業者(A)と韓国の輸入業者(B)は、AがBに小麦を1000トン販売するというCFR契約を結びました。Aは、3000トンの小麦を積んだ船の中に、Bに販売する1000トンの小麦を混載しました。目的港に到着した後、船会社によって、この1000トンの小麦がBに振り分けられる予定でした。
しかし、高い気温の影響で、輸送中に、1200トンの小麦が変質し、目的港に無事に輸送されたのは、1800トンのみでした。Aは、Bに販売する1000トンの小麦が輸送途中にすべて変質したとし、CFR契約に基づき、この損失に対する責任は負わないと主張しました。これに対して、Bは、契約を履行する義務がAにあるとして、賠償を求めました。言い分が真っ2つに分かれたため、双方は契約の仲裁箇条に基づき、仲裁機構に裁定を委ねました。仲裁機構は、審議の結果、Aは、輸送途中に生じた貨物の損失を購入側になすりつけることはできず、Bに対して、引渡責任を履行しなければならないと判決を下しました。
Q:(1)CFR契約における貨物のリスクは、どの時点から移りますか。
(2)仲裁機構の判決に法的根拠はありますか。
A:(1)CFR契約における貨物のリスクは船積港で貨物を貨物船に積み込んだ時点から移ります。
(2)Aは、Bに対して1000トンの小麦を引渡す責任があります。CFR契約によると、船積港で貨物を貨物船に積み込んだ時点から、貨物のリスクは販売側から購入側に移るということですが、この規定はあくまでも一般的な情況におけるものです。今回の判例では、Aが販売する1000トンの小麦は混載されており、貨物を特定できない状況にあります。そのため、1000トンの小麦をBに引き渡す前に、Bに販売する1000トン全てが変質した1200トンに含まれていたことを証明することはできません。したがって、AはBに対する小麦の引渡責任を履行しなければなりません。
(科学出版社―「国際商業貿易法律と実例」より 整理・翻訳:Ken チェック:田中)
| ||||
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |