1年前、四川省を突如襲った大地震。天地がひっくり返るような揺れに四川・臥龍のパンダたちは怯え、ひたすら逃げ回りました。余震が続く中、臥龍中国パンダ保護研究センターの職員たちは身を危険にさらしながら行方がわからなくなったパンダを懸命に探しました。
その1週間後、センターで飼育していた63頭のうち61頭の無事が確認されました。残る2頭のうち1頭は残念ながら、ガレキの下敷きになって死んでいました。それはパンダを題材にした映画にも出演したメスの「毛毛(マオマオ)」。もう1頭は子パンダの「小小(シャオシャオ)」で、未だに行方不明のままです。
この地震で、センターの5分の4が被害を受けました。地震専門家による調査の結果、洪水や土砂崩れなどの2次災害が起きる恐れがあると判断され、パンダたちの「引越し」を決断しました。
去年の5月24日、地震からわずか12日後、まだ道路も完全に復旧しないうちから臥龍パンダを全国各地の受け入れ施設へ送り出すことが始まりました。その時、臥龍では山崩れでパンダの大事な食糧である竹がかなり失われ、粉ミルクを溶かす水を入手するのにも一苦労したこともその決断を後押しすることになりました。
大部分のパンダたちは6月から8月にかけて四川省・雅安の碧峰峡パンダ繁育基地に移され、それ以外にも北京や広州、福州、武漢などパンダの飼育経験がある動物園や研究センターがパンダを受け入れました。(パンダの受け入れ先はここをクリックして、ご覧ください)
引越しの過程で、センターの職員が特に神経を尖らせたのが妊娠中のメス9頭の搬送でした。地震直後に、既に2頭がショックで流産しており、センターの職員はこれ以上の悲しみを繰り返したくありませんでした。その後、苦労の甲斐があってこの9頭のメスは無事に出産を終え、13頭の新しい命が誕生しました。
先月末、四川・臥龍に残った最後の8頭のパンダが移転され、四川・臥龍で飼育されていたパンダ全てがふるさとを離れました。
現在、臥龍のパンダたちは全国各地で元気に暮らしながら、ふるさとの再建を待っています。碧峰峡パンダ繁育基地では、職員が臥龍パンダの健康を気遣うだけでなく、パンダとスキンシップをとり、パンダに話しかけることを通じて、地震で傷ついたパンダの心のケアも行っているそうです。(記事「臥龍パンダの最新状況」)
私たちは、最後に臥龍を離れ、先月末北京動物園にやってきた臥龍の子パンダたちに会って、その元気な様子を確認することが出来ました。(動画「元気でかわいい『国慶パンダ』」)
臥龍の新しい研究センターは2年後の完成を目指して、いま工事が行われてます。完成後の施設面積はこれまでの10倍になり、世界をリードする設備が備え付けられます。
いま、最大の懸念は臥龍に生息する野生パンダの安否です。以前生息が確認された142頭の野生パンダは、生活環境が激変し、食糧が急激に減った中で生き延びることが出来ているかが心配されています。
臥龍保護管理局の張曉萍広報担当によりますと、最近管理局は国家林業省に野生パンダの調査を要請し、調査要員の派遣を求めました。
災害の被害を受けたとき、人に限らず動物も人々の温かい心を必要としています。このパンダ特集を通じて、みなさんが少しでも四川のパンダに目を向けていただければ幸いです。
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