2007年末、アメリカの「タイムズ」誌は「世界十大建築」のリストを発表しました。これらの世界の名建築物・新建築物の中に、オリンピックメインスタジアム「 鳥の巣」、中国中央テレビ局本社ビルと北京当代万国城の三ヶ所が選ばれています。2008年北京オリンピックに向けて建設された数多くの施設の中でも、「鳥の巣」がとりわけ人々からの注目を集めています。
「鳥の巣」は、北京オリンピックのメインスタジアムで、北京オリンピックとパラリンピックの開会式と閉会式、北京オリンピックの陸上競技、サッカー試合の決勝戦がいずれもここで行われます。
北京オリンピックのメインスタジアムである国家体育場、「鳥の巣」は、外観が鳥の巣に似ているのでこんな愛称が付けられました。北京オリンピック公園の中に位置し、建築面積は25万8000平方メートル、固定席が80000席あります。固定席のほか、11000もの臨時席が設置できますので、最大90000人を超える観客を収容できるということです。
(写真=新華社)
「鳥の巣」の建設は、4年間あまりかかって、今年の6月28日に完成しました。これは、北京オリンピック37の競技スタジアムの中で、もっとも最後に完成したものです。何故完成が遅かったのか、これは建築上の難しさと大きなかかわりがあります。
2002年3月、中国は全世界に向けて国家体育場の設計プランを募集しました。その結果、スイスのヘルツォーク&ド・ムーロン事務所、中国建築設計研究院とARUPエンジニアリング会社の共同設計による「鳥の巣」が選ばれました。その独特なデザインは、見ていて圧倒される感じです。「鳥の巣」のデザインを中心になって手がけた世界的な建築家、ド・ムーロン氏は、「これは大きな容器のようなものだ。巨大な人の群れを収容できる。観客席が人でいっぱいになる時、人々は建築物の一部になる。すばらしいスタジアムは、観客と選手が一体となって競技を盛り上げることを基礎として成立するものだと思う」と語っています。
「鳥の巣」の内部では、観客席は三層の構造となっています。柱が一本もないため、観客はどの席に座っても、競技場の中心までの視線の距離はいずれも140メートルぐらいで、どこからで同じように楽しむことが出来ます。
このほか、「鳥の巣」は、構造的には「グリーンオリンピック」、つまり環境に優しいオリンピックという理念を非常に重視して作られました。屋上には130キロワットの発電能力を持つ太陽光発電システムが設置されたほか、年間5万8000立方メートルの雨水を処理出来る設備があります。処理された雨水を利用して、スタジアムの植物に水をやったり、トイレの水にも使われたりします。
今年の4月と5月、「鳥の巣」では、テスト試合として国際陸上競技連盟 (IAAF)の主催による競歩とマラソン、および陸上中国オープンなど3つの大会が行われました。選手や試合の組織者、観客はいずれも「鳥の巣」の建物の質と機能を高く評価しています。
8月8日夜8時、北京オリンピックはこの「鳥の巣」という華やかな舞台で、すばらしいパフォーマンスを見せるのです。真夏の夜空にきれいにライトアップされる「鳥の巣」で行なわれる開会式にご期待下さい。
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